Project/Area Number |
22KJ2208
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Project/Area Number (Other) |
22J20965 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 28030:Nanomaterials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北浦 怜旺奈 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 熱電発電 / 半導体 |
Outline of Research at the Start |
近年、IoT社会の実現に向け、廃熱から電気へ直接変換が可能な熱電変換が注目されている。熱電変換の中でも、ゼーベック効果を利用したものとネルンスト効果を利用した熱電発電があり、ネルンスト効果を利用した熱電発電の方が、同じ無次元性能指数(ZT)が得られた場合、熱電発電効率が大幅に大きいという特徴を持つ。しかし、ネルンスト効果は磁性を必要とするため、熱伝導率が高く、高ZTが未だに達成されていない。そこで我々は、強磁性体/半導体ナノ界面構造を導入した熱電薄膜材料に着目し、高い横ゼーベック係数と低い熱伝導率を両立する、高性能磁気熱電発電材料の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ネルンスト熱電発電の性能向上には横ゼーベック係数の増大と熱伝導率の低減が必要であるが、我々は昨年度に強磁性体Co/半導体Si積層構造を用いて、強磁性体/半導体界面による横ゼーベック係数増大と熱伝導率の低減を実現しました。 今年度はこの知見を活かし、まず、Co層中にSiのナノ構造を入れることで、強磁性体/半導体界面をより多く導入し、更なる性能向上を目指しました。具体的には、ワイヤやドット状のナノ構造を導入するだけでCo単膜の性能が向上することを発見しました。これらは昨年度に成功してきたCo/Si積層構造中のCo層にも導入が可能と考えられ、更なる性能向上の可能性を示すものです。また、Co/Si積層構造において、強磁性体/半導体界面密度を高めるため、層厚を薄くした試料の作製を行いました。その結果、層厚が大きな試料より横ゼーベック係数の増大が見られました。これらの結果より、Co/Siの界面密度が重要な役割を果たしていることを発見しました。 また、本年度は、強磁性体単膜としてCo層より性能が高いと理論的に報告されてきたFe3Si薄膜の開発、評価を行いました。これは、昨年度得た、強磁性体/半導体界面を導入することで、強磁性体より大きく性能が向上する知見を、Coより大きな性能を示すFe3Siに適応することで、更なる高性能材料の開発を目標に取り組んでいるものです。Fe3Siの横ゼーベック係数は結晶構造に大きく依存していると考えられるため、まず、組成依存性を取得しました。そこでは、性能が高いと予想された化学量論比のFe3Siより、わずかにFeが多いFe3Siの方が横ゼーベック係数が大きいことを発見しました。これを第84回応用物理学会にて発表いたしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネルンスト熱電発電の性能向上には横ゼーベック係数の増大と熱伝導率の低減が必要であるが、我々は昨年度に強磁性体Co/半導体Si積層構造を用いて、強磁性体/半導体界面による横ゼーベック係数増大と熱伝導率の低減を実現してきました。昨年度に引き続き、強磁性体/半導体界面がもたらす横ゼーベック係数増大の起源の解明と、高い横ゼーベック係数が予想される強磁性体Fe3Siの開発、熱電特性評価を行いました。 強磁性体/半導体界面がもたらす、横ゼーベック係数増大の起源を探索するため、強磁性体/半導体の界面の影響がより大きいと期待される薄層化した試料を新たに作製し、その熱電特性を評価しました。その結果、層厚が薄くなっていくことに伴い、横ゼーベック係数が増大することを観測しました。今年度は、昨今のHeガス不足等でが十分に測定ができなかったが、来年度はこの起源の探索のため、電気特性の温度依存性を用いた輸送解析を行い、強磁性体/半導体界面による横ゼーベック係数増大の起源を探索する予定です。 また、分子線エピタキシー法を用いて、理論的に巨大な横ゼーベック係数が予測されるFe3Si薄膜の開発、組成依存性に取り掛かった。Fe3SiはDO3構造の結晶が形成されている場合、その電子構造から高い横ゼーベック係数が予測されているため、化学量論比のFe3Siが大きな性能を示すことが予想されたが、それに反して、少しFeが多めなFe3Siの方が横ゼーベック係数が大きいことを発見しました。これは、先行研究では報告例のない増大方法が潜んでいる可能性があるが、本年度は、第一原理計算等の計算が可能な環境になかったため、来年度は、この起源解明のため、第一原理計算を用いて、電子構造、ネルンスト伝導度を評価していく予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において、まず、強磁性体/半導体界面の影響がより大きいと考えられる層厚が薄い試料において、横ゼーベック係数が増大することを発見した。また、半導体ナノ構造を強磁性体単膜中に導入することで、強磁性体単膜よりも横ゼーベック係数が増大することを発見した。このことから、この横ゼーベック係数増大の起源は界面付近の電子輸送によるものではないかと着目し、来年度はスピン軌道相互作用に関連した電子輸送の測定を行い、強磁性体/半導体界面での横ゼーベック係数増大の起源探索を行う。 また、本年度、巨大な横ゼーベック係数を有する材料の開発を目的に、分子線エピタキシー法を用いて、組成比を緻密に制御したFe3Siの開発を行ってきた。来年度は、まず、組成比制御による電子構造の変化、横ゼーベック係数の影響を評価するため、第一原理計算を行う予定です。また、これに続いて、このFe3Si薄膜と、強磁性体/半導体界面での横ゼーベック係数増大を目的に、Fe3Si/半導体積層構造を作製し、熱電特性評価を行う予定です。これにより、Co/Si積層構造よりも高い性能を目指すとともに、強磁性体/半導体界面による横ゼーベック係数増大効果が、Co/SiだけでなくFe-Si系強磁性体においても有効であることを示す予定です。
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