Project/Area Number |
22KJ2215
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Project/Area Number (Other) |
22J22043 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 朝香 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 外胚葉性間葉系細胞 / 表皮発生 / 皮膚発生 / 間葉系幹細胞 / 表皮幹細胞 |
Outline of Research at the Start |
日常生活の軽微な外力で表皮剥離を繰り返す難治性の遺伝子疾患、劣勢栄養障害型表皮水疱症の治療法開発は喫緊の課題である。本研究室は、日々表皮剥離を繰り返し、大量の幹細胞を喪失しているにも関わらず、表皮再生能を維持し続けるという臨床的知見を発端に、これまで外胚葉性間葉系幹細胞による組織修復寄与を明らかにしてきた(Tamai et al., PNAS 2011)。 本研究は、皮膚発生過程における外胚葉性間葉系細胞由来表皮の存在を出発点に、これらの分子・細胞レベルでの生理的特徴解明を目的とする。本研究成果が発生段階で皮膚機能・形態に異常が生じる種々の皮膚難病の病態解明・治療法開発に貢献することを期待する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、表皮幹細胞の発生機序における外胚葉性間葉系細胞の役割解明を進めている。これまで当該研究室では、遺伝性水疱性皮膚難病である表皮水疱症の剥離表皮再生機序に外胚葉性間葉系細胞が寄与することを見出してきた(Tamai et al., 2012, PNAS)。しかし外胚葉性間葉系細胞の正常表皮の発生機序への関与は未だ不明な点が多いのが現状だった。 外胚葉性間葉系細胞は、発生のごく初期頭部の非神経外胚葉から、上皮間葉転換を介して生じることが報告されている(Weston JA et al., 2003, Developmental Dynamics)。そこで本研究では、外胚葉性間葉系細胞由来の表皮(以下、外胚葉性間葉系表皮)発生の役割解明を目的とし、これまで外胚葉性間葉系細胞マーカーProtein zero (P0)陽性細胞の系譜追跡 マウス(P0-Cre: ROSA tdTomato:PDGFRa-H2BGFPKI)や、間葉系細胞特異マーカーPDGFRα陽性細胞の系譜追跡マウス(PDGFRa-Cre:ROSA tdTomato:PDGFRa-H2BGFPKI)を用いた外胚葉性間葉系譜細胞の追跡及びその生理特徴解析を実施した。蛍光免疫染色及びフローサイトメトリー解析による外胚葉性間葉系表皮の追跡や、単一細胞RNA/ATACシークエンス解析により、生理環境下における外胚葉性間葉系細胞由来の表皮の特徴が明らかになってきた。本研究では、外胚葉性間葉系表皮の発生過程機序を分子・細胞レベルで明らかにすることで、根本的な治療法がない表皮水疱症における剥離表皮再生に、なぜ外胚葉性間葉系細胞が寄与しうるのかという臨床的問いに対する答えを見出す。最終的に本研究成果を基盤の一部として、表皮水疱症治療法開発に向けた社会実装に貢献することを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在間葉系細胞特異マーカーPDGFRα陽性細胞系譜追跡マウス(PDGFRa-Cre:ROSA tdTomato:PDGFRa-H2BGFPKI)を中心に解析を進めているが、新生仔の頭部を用いた単一細胞RNAシークエンス解析により、PDGFRα系譜表皮細胞特異的な特徴が明らかになってきた。そこで今年度はPDGFRα系譜表皮細胞及び非PDGFRα系譜表皮細胞の幹細胞集団のin vitro実験系において、コロニー形成能及び細胞増殖能を検討したところ、頭部を構成するPDGFRα系譜表皮細胞集団で高い細胞増殖能を持つ傾向が得られた。モデルマウスの加齢に伴い表皮ケラチノサイト中に占めるPDGFRα系譜細胞の割合が増加する(上皮マーカーEpCAM陽性細胞中のPDGFRα系譜細胞の割合 新生仔:約13%、64週齢:約70%)一因として考えられた。さらに、胎生期の外胚葉性間葉系細胞の挙動を詳細に追跡する目的で、タモキシフェン誘導による時期特異的PDGFRα系譜細胞を追跡可能なモデルマウス(B6.Cg-Pdgfra<tm1.1(EGFP/cre/ERT2)Hyma>)も追加し現在検討している。外胚葉性間葉系細胞が出現する胎生7.5~8.5日にタモキシフェン誘導によりPDGFRα系譜として標識された細胞集団が、その後の表皮発生に寄与することが、フローサイトメトリーを用いた解析及び胎仔透明化サンプルのホールマウント撮影から明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
タモキシフェン誘導による時期特異的PDGFRα系譜細胞を追跡可能なモデルマウスを用いて、外胚葉性間葉系細胞が表皮発生に寄与し始める時期の特定を進めている。具体的には、胎生7.5日にタモキシフェン投与後、胎生8.5日の胚の非神経外胚葉組織にはPDGFRα系譜細胞を認めなかった。その一方で、胎生7.5日にタモキシフェン投与し胎生14.5日の胚を観察すると表皮層にPDGFRα系譜細胞の出現を認めた。このデータは胎生8.5~14.5日の間で間葉上皮転換が生じていることを示唆しており、今後間葉上皮転換のタイミングを詳細に見ていく。 また同研究室では現在、ヒトiPS細胞より分化誘導した外胚葉性間葉系細胞からの表皮ケラチノサイトコロニーの出現をin vitro実験系で確認している。これまでのモデルマウスから得られたin vivoにおける外胚葉性間葉系細胞の知見と、ヒトiPS細胞を用いたin vitroの実験系を組み合わせることで、外胚葉性間葉系細胞を起源とする表皮発生機構の解明に取り組む。
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