マイクロRNAによる放射線抵抗性の制御機構の解明と治療応用
Project/Area Number |
22KJ2241
|
Project/Area Number (Other) |
21J21801 (2021-2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中岡 藍 神戸大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | エクソソーム / マイクロRNA / 放射線抵抗性 / 転移 |
Outline of Research at the Start |
がんの治療法の中でも放射線治療は、非侵襲でありながら効果の高い治療法の一つであり、日々進歩しているが治療抵抗性のがんに対する治療法開発は未だ十分でない。 「エクソソーム」は、体内のほぼ全ての細胞が分泌する細胞外小胞体の一つであり、内部に分泌細胞由来のマイクロRNAやタンパク質を内包し、細胞同士の情報伝達を担うことが知られており、近年がん細胞との相互作用に注目が集まっている。 申請者はこの研究期間を通して、難治性とされている転移性がん等に対する新しい治療法の開発へ向けて、放射線に抵抗性のあるがんにエクソソームを導入し、放射線による抗腫瘍効果を向上させる手法を確立することを目的に本研究課題に取り組む。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エクソソーム内のマイクロRNAを介して放射線抵抗性のがんの抗腫瘍効果を高める手法を開発することを目的とする。放射線治療は非侵襲的であり、がんへの高い局所制御が期待できる標準治療の一つであるが、転移性のがんや放射線による抗腫瘍効果が得られにくい放射線抵抗性のがんなどのいわゆる難治性のがんに対する治療の開発は十分でない。本研究では、細胞から放出される膜小胞体であるエクソソームを介したマイクロRNAの輸送により、がんの放射線抵抗性を制御する手法の開発を試みる。 昨年度は、放射線照射されたMIAPaCa-2細胞(以下「細胞」と表記)由来のエクソソームを添加した細胞を用いると、肝転移巣形成モデルマウスにおける肝転移巣形成が抑制されることに加え、細胞から放出されたエクソソームが細胞の遊走能を低下させることを明らかにした。これらの結果を踏まえ、エクソソームのマイクロアレイ解析結果から、非照射細胞由来のエクソソームと比較し、照射細胞由来のエクソソームにて有意に発現量が変化しているマイクロRNAを遊走能、転移能制御の関連候補分子として抽出した。 今年度は、マイクロアレイ解析の結果から抽出した候補マイクロRNAのうち、細胞の遊走能・浸潤能制御に関連するマイクロRNAの同定を試み、ターゲット分子を検索することでエクソソームによる細胞の遊走能・浸潤能制御に関する分子機序を検討する。また、これらの効果の細胞依存性の有無の検討のため、MIAPaCa-2細胞以外のヒト膵がん細胞株を用いた遊走能・浸潤能評価を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、肝転移形成モデルマウスを用いたエクソソームによる肝転移形成制御実験結果およびエクソソームの添加によるMIAPaCa-2細胞の遊走能変化の検討実験を通して、細胞の遊走能および転移能制御に関連するマイクロRNAの候補を抽出することができ、当初の実験計画と比較してもおおむね順調である。今年度の実験では、これらの効果の細胞種依存性の有無の検討に加え、抽出したマイクロRNAに着目しターゲット分子を同定することで、エクソソームの細胞遊走能・浸潤能および転移巣形成制御の分子機序の詳細な検討を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
エクソソームが浸潤能に与える効果についても検討を行うため、MIAPaCa-2細胞に対してinvasion assayを行う。非照射細胞と比較して照射細胞由来のエクソソーム内にて有意に発現量が変化したマイクロRNAのmimicを細胞にtransfectionさせ、細胞の遊走能・浸潤能変化を検討し、細胞の遊走能・浸潤能を最も低下させたマイクロRNAを検索する。検索したマイクロRNAのターゲット分子をTargetScanやmiRtarbaseなどのデータベースを用いて同定し、マイクロRNAによる細胞内でのターゲット分子の発現量変化を生化学的手法で解析する。さらに、エクソソームによる細胞の遊走能・浸潤能制御の効果が、細胞種に依存的か否かをBxPC3やPanc-1などの細胞株を用いて同様の実験を行うことで検討する。分子機構の検討において、必要であれば、同定した関連分子を過剰発現/ノックアウトした膵がん細胞株をヌードマウスの脾臓へ注入して肝転移形成マウスモデルを作成し、解剖後に取り出した脾臓および肝臓組織に対し、HE染色および免疫染色を行い、腫瘍形成率や生存率等の解析を行うこととする。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)