mTORC2複合体構成に着目した糖代謝の新規制御機構の解明
Project/Area Number |
22KJ2344
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Project/Area Number (Other) |
22J14658 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
北村 菜央 山口大学, 共同獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | タンパク質間相互作用(PPI) / mTORC2 / Akt / PDK1 / EGF / 糖代謝 |
Outline of Research at the Start |
日本を含む先進国では、豊かな食生活にともなって糖尿病などの生活習慣病が増加している。偏った食事、飲酒などの生活習慣は、がんの発症リスクの増加にもつながる。生活習慣病もがんも、その発症や進行に糖代謝が重要な役割を担っている。したがって、糖代謝の分子機構を解明することは、これらの疾患の本態解明につながる。mTORC2複合体は糖代謝を制御する重要な調節因子であるが、複合体内のタンパク質間相互作用(PPI)や活性を制御する分子機構はほとんど明らかになっていない。そこで本研究は、脱リン酸化酵素PP6によるmTORC2構成因子のPPI制御機構を解明し、糖代謝の分子機構の一端を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の機能は、他のタンパク質との結合と解離により誘起される構造変化や反応によって制御される。このようなタンパク質間相互作用(PPI:Protein-Protein Interaction)の異常は、細胞内シグナル伝達を乱し疾患の原因になる。また、タンパク質のリン酸化は、PPIの変化をもたらす主要な翻訳後修飾であり、リン酸化反応自体もPPIを介する。そのため、リン酸化反応を触媒する酵素と基質のPPI変化と、基質のリン酸化との関係を理解することは極めて重要である。 mTORC2の基質であるAktに着目し、Aktをリン酸化するキナーゼであるPDK1とAkt間の結合・解離を検出できる安定発現細胞株を作製し解析を進めた。インスリン刺激および成長因子(EGF)刺激時におけるPDK1/Akt のリアルタイムの結合変化を比較したところ、インスリン刺激ではAktとPDK1の結合は二峰性に増加し緩やかに持続する一方で、EGF刺激では一峰性に増加し速やかに基底まで戻った。反応が鋭敏なEGF刺激時において、さらにPPIとAktのリン酸化レベルの変化を網羅的に解析した。その結果、PDK1/Aktの結合条件として、AktのPHドメインと細胞膜上のリン脂質PI(3,4,5)P3との結合が必要であることを再確認し、Aktが高度にリン酸化された状態においても、EGFによりPDK1/Aktの結合が誘導されることから、Aktのリン酸化状態はPDK1/Akt PPIに影響を与えないことを明らかにした。さらに、PI(3,4,5)P3およびAktのホスファターゼ阻害剤は、PDK1/Akt PPI以外のAktリン酸化を制御するメカニズムの存在を示した。これらの結果は、PI3K/PDK1/Aktシグナル伝達の制御機構をより深く理解し、リアルタイムPPI解析の応用可能性を示すものである。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)