匂い・味がブリの摂餌行動、食欲および摂餌量に及ぼす影響
Project/Area Number |
22KJ2363
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Project/Area Number (Other) |
21J23499 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
泉水 彩花 愛媛大学, 愛媛大学大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ブリ / 嗅覚 / 味覚 / ニューロペプチドY / 摂餌行動解析 / 摂餌量 / アミノ酸 / 摂餌 |
Outline of Research at the Start |
持続可能な魚類養殖漁業を推進するにあたり、養殖魚用飼料の低魚粉化が求められている。しかしながら、日本において重要な養殖対象種であるブリは肉食性が強く、飼料中の魚粉含量を減らした低魚粉飼料を餌として認識できず、食欲および摂餌行動が引き起こされづらい。ブリの食欲および摂餌行動は餌の匂い・味によって引き起こされるが、その仕組みについては不明な点が多い。そこで、本研究では嗅覚・味覚刺激の強さが分かっているアミノ酸を用いて、嗅覚・味覚刺激がブリの食欲、摂餌行動および摂餌量に与える影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ブリにおいて匂い・味を介した摂餌調節機構を解明することを目的としている。ブリは日本で最も養殖生産量の多い魚種であり、その摂餌には嗅覚と味覚の刺激が強く関連していると考えられる。ブリにおいては、各種アミノ酸に対する嗅覚・味覚神経の電気生理学的応答が確認されており、最も嗅覚刺激の強いアラニンと最も味覚刺激の強いプロリンはブリの摂餌刺激物質の一部として使用されている。しかしながら、嗅覚と味覚を介してブリの食欲および摂餌が引き起こされる仕組みについてはほとんど分かっていない。そこで本試験では、電気生理学的に決定された嗅覚・味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸を用いて、食欲亢進ホルモン(ニューロペプタイドY;NPY)応答試験、摂餌行動解析試験、摂餌試験を行うことで、嗅覚・味覚を介したブリの摂餌調節機構を解明する。 これまでに、嗅覚を介したブリのNPY応答試験および摂餌行動解析試験を終えており、本年度は味覚を介したNPY応答試験および摂餌行動解析試験を行った。さらに、摂餌行動解析試験後に給餌を行うアミノ酸添加後給餌試験を実施した。 視床下部NPY発現量の応答は、添加したアミノ酸の味覚刺激の強さとの間に明確な傾向が確認されなかった。アミノ酸添加によるNPY発現量の有意な変化は、味覚刺激の強いアミノ酸ではL-アラニンのみ、味覚刺激の弱いアミノ酸ではL-グルタミン、L-トレオニン、L-ヒスチジンの3つで確認された。摂餌行動の解析は現在進行中である。アミノ酸添加後の摂餌量は、味覚刺激との関連は薄く、嗅覚刺激の強いアミノ酸添加後には減少することが明らかになった。 ここで得られた結果をまとめた筆頭論文2報が国際学術誌に掲載され、国内学会では3件のポスター発表を行い、そのうち令和4年度日本水産増殖学会第20回大会では最優秀学生ポスター発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに味覚刺激の強いアミノ酸4種と味覚刺激の弱いアミノ酸4種を用いて、ブリの各脳部位(嗅球、終脳、視床下部、小脳体)におけるNPYの応答を明らかにした。また、これらのアミノ酸を用いた摂餌行動解析試験をすべて完了し、得られたデータの集計を行っている。 追加の実験として、行動解析試験終了後、飽食になるまでの給餌量を算出することで、飼育水中にアミノ酸を添加した際の摂餌量を測定する試験を行った。本試験には、これまでに使用した嗅覚・味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸の全種類とブリの摂餌刺激物質を構成する核酸物質であるイノシン酸を試料として用いた。その結果、嗅覚刺激の強いアミノ酸を添加した際には、その摂餌量が有意に減少することが分かった。一方、味覚刺激の強さと摂餌量には関連が薄く、ベタインとイノシン酸は摂餌量を増加させることが分かった。 以上の通り、申請時点での研究計画に則った研究を進めるだけでなく、追加の試験で新たな知見を得ることができたことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も申請時の研究計画に則り、研究を進める。これまでに、嗅覚・味覚刺激に対するブリのNPY応答試験および摂餌行動解析試験を完了した。本年度はこれまでに得られた結果の解析と、摂餌試験を行う。摂餌試験では、これまでの試験で使用した嗅覚・味覚刺激の強いもしくは弱いアミノ酸の全種類を用いる。本試験は3反復で実施するが、試験区が多くなるため前半と後半に分けて実施する。ブリの嗜好性が低い無魚粉飼料にアミノ酸をそれぞれ添加し、飽食になるまで給餌した際の摂餌量を計測する。前半、後半ともに嗜好性の高い魚粉飼料を飽食になるまで給餌した際の摂餌量を100とし、アミノ酸を添加した飼料のそれぞれの摂餌量の割合、およびアミノ酸を添加していない無魚粉飼料の摂餌割合を算出することで、嗅覚・味覚刺激を介した摂餌量の改善効果を明らかにする。 これまでに得られた結果と本試験の結果を総合して考察することで、嗅覚・味覚を介したブリの摂餌調節機構を解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)