| Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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| Outline of Annual Research Achievements |
申請課題では長期的なシカの植生採食が森林生態系の炭素固定機能に与える影響を明らかすることを目指している。これを達成するため、①シカ採食と続く土壌侵食が樹木成長に与える影響の評価と、②シカ採食による林分構造変化が炭素収支に与える影響の評価を行った。最終年度は②に関する現地観測を完了し、得られた結果の解析を行った。また、各成果を国際誌に投稿・発表した。 ①に関して、シカの植生採食が土壌侵食を増大させ、これが樹木生産量を低下させることを明らかにした(Abe et al., 2024a, Catena, 234, 107559)。また、シカ排除柵が土壌侵食の防止を通じてブナの成長を維持することも明らかにした(Abe et al., 2024b, Journal of Environmental Management, 371, 123146)。 ②に関して、前述(①)の研究のような樹木衰退が生じ、林分が疎になった森林では、炭素蓄積量が健全な森林に比べ最大で約半減することを明らかにした(Abe et al., 2024c, Forest Ecology and Management, 562, 121938)。その要因として炭素収支の悪化、すなわち疎林化による純一次生産の減少、枯死木増大による従属栄養呼吸の増加、及び下層植生消失による土壌侵食量の増大が挙げられた(※本成果は2025年度に投稿論文として公表予定)。なお、こうした炭素収支の悪化に、土壌有機物の分解呼吸は関与していないこと(Abe et al., 2024d, EarthArxiv; Abe et al., 2025, Journal of Agriultual Meteorology, Printing)も明らかにした。 以上要するに本研究は、日本の山地森林ではシカの採食が長期化すると、下層消失に伴う土壌侵食によって樹木衰退が生じ、これと稚樹採食が組み合わさることで林分は早期に疎林化し、かつその過程で森林を炭素の吸収源から放出源へ転換し、最終的に森林内に貯蔵された炭素の大幅な損失に繋がりうることを明らかにした。
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