Project/Area Number |
22KJ2461
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Project/Area Number (Other) |
22J20637 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安部 彩乃 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 有機レーザー / 室温りん光 / 有機共結晶 / 光共振器 / ハロゲン結合 |
Outline of Research at the Start |
有機レーザーは、優れた波長可変性を有する次世代のレーザーデバイスとして様々な応用が期待される。一方、長寿命で発光に関与しない三重項励起子の蓄積により引き起こされる連続レーザー(CW)発振時間の制限が、実用化における課題の一つとなっている。本研究では、三重項励起子を直接発光に利用可能であるりん光材料を用いたレーザーの実現により、課題の根本的解決を試みる。りん光レーザーは、三重項励起子密度が高い状況下において有利な特性を持つため、CW発振時間の長時間化や、電流励起下におけるレーザー閾値の大幅な低下を実現できる可能性がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では三重項励起子を直接発光に利用するりん光材料を用いたレーザーの開発を目指す。従来の有機レーザーにおいて三重項励起子の蓄積は、閾値の上昇や素子の劣化を引き起こすことが知られており、実用化における一つの障壁となっていた。しかし、三重項励起子を発光に利用する場合には、三重項励起子の蓄積による高い励起子密度の実現は反転分布の形成を可能にし、特に三重項励起子密度が高くなる条件下において有利であるといえる。有機レーザー材料の利得媒質としてりん光材料を利用する場合、「励起状態吸収と発光スペクトルの重なりがないこと」および「高い発光量子収率の実現」の両方が重要であると考えられる。昨年度までに三元共結晶化によるりん光量子収率の大幅な向上を達成したものの、計算上からレーザー閾値は依然として高いことが予想され、閾値の低減化のためにさらなる高効率化が求められる。これまでの検討において、三元共結晶中におけるエネルギー失活過程として非発光性のエキサイプレックスの存在が示唆されていたことから、本年度は異なるハロゲンドナーを用いた場合の結晶構造やエネルギー失活過程の変化について検証した。さらに、新規結晶性りん光材料の検討を行った。 光を閉じ込め増幅させる光共振器構造の性能もレーザー閾値に大きく影響することから、共振器構造についての検討も進めた。従来までのレーザー特性のシミュレーションモデルに共振器の与える寄与を加え、より詳細なモデルを構築し評価を行った。また、この結果に基づいた共振器構造の探索および評価系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り光共振器構造の探索に着手したものの、りん光からのレーザー発振には至っていない。詳細なモデルの構築によって、りん光材料において特に共振器に求められる性能については検討を行っているため、それらの要求を満たす共振器構造の作製及び評価系の構築が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザー発振を実現するためには、優れた共振器構造が必要不可欠である。従来の有機材料は大きな誘導放出断面積を有するため、特にパルス励起下においてレーザー発振が得られやすいが、りん光材料は誘導放出断面積が小さいため、より共振器の効果が重要であると考えられる。現在までにシミュレーションにおいて、共振器がレーザー特性に与える寄与について検討を行ってきた。今後はこれらについて実験的な検証を進めながら、共振器構造の最適化を行う。
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