Project/Area Number |
22KJ2476
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Project/Area Number (Other) |
22J21267 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三木 大輔 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 重力理論 / 量子もつれ / 巨視的量子力学 / 量子情報理論 / 光学機械振動子系 / オプトメカニクス / 量子制御 |
Outline of Research at the Start |
量子重力理論は未完成であるが、重力が根本的に量子力学に従うことでさえ検証されていない。重力の量子性の検証模型として、重力ポテンシャルが量子力学における演算子として作用するならば、2つの物体間に量子もつれが生成されることが示されている。しかし、検証模型の多くは周囲の環境による熱揺らぎの影響を考慮しておらず、実験との対応が不十分となっている。そこで本研究では、実験による重力の量子性の検証を目指し、光の測定を通した巨視的物体の量子制御に基づく重力による量子もつれ生成の理論模型の構築を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は巨視的量子系の実現に向けて、巨視的な鏡と光が相互作用する光学機械振動子系に着目し、その量子制御に関する理論的研究を行った。その結果として、ミリグラム程度の質量を持つ鏡の量子状態と鏡間の光による量子もつれ生成が近い将来に実現可能であることを明らかにした。そこで、今年度は2つの量子制御された鏡を重力相互作用させたときに生じる量子もつれに関する研究を行い、論文としてまとめ上げた。 これまで量子重力に関する研究は理論研究が先行して行われており、実験的な重力の量子性の検証は全く行われていない。そのなかで、量子的な相関である量子もつれに着目した研究は実験を念頭に置いた重力の量子性を検証する新たなアプローチの一つである。今年度は、2つの光学機械振動子系において、重力による鏡間の量子もつれの生成条件を明らかにした。この系では、出力光の測定に基づいて鏡の運動を量子的に制御することにより、環境からの熱ノイズの影響を抑えることができる。本研究では、フーリエ空間において鏡の共振振動数にのみ着目して量子もつれの評価を行った。その結果として、重力相互作用が鏡と光の相互作用より支配的であるとき、鏡間に重力による量子もつれが生じることを示した。また、鏡間に重力による量子もつれが生成されるならば、出力光の間にも常に重力による量子もつれが生じることを示した。 さらに、巨視的な量子系が実現していることを検証するために、Leggett-Garg不等式の破れに関する共同研究を行った。ベル不等式の破れは量子的な相関を特徴づけるものであるが、Leggett-Garg不等式の破れは時間的な相関を特徴づける。今年度は、調和振動子とスカラー場に対してLeggett-Garg不等式の破れの評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から今年度にかけて予定していた弦が懸架鏡に与える影響については、早期に論文としてまとめることができた。また、重力による量子もつれの生成に関する研究に関しては、測定に基づく量子制御に関する昨年度の研究を拡張し、重力による量子もつれが生成されるパラメータ領域を明らかにすることができた。その際、光学機械振動子系や宇宙実験に関する専門家との議論を定期的に行い、挑戦的ではあるが将来的に到達可能だと考えられるパラメータにおいて、重力による量子もつれが生成可能であることがわかった。他方で、巨視的な量子系が実現しているかを検証する手法として、Leggett-Garg不等式に関する共同研究も行った。このように、重力の量子性の検証に向けて基礎となる理論模型の構築を行うことができた。従って、研究は当初の予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は光学機械振動子系を用いた重力による量子もつれ生成の時間発展に関する研究を行う。今年度は、鏡の定常状態を仮定し、フーリエ空間における鏡間量子もつれの評価を行った。一方で、量子もつれの生成する時間スケールは明らかになっていない。そこで、実空間における量子もつれの時間発展に関する解析を行う。また、信号とノイズに関する評価も行い、重力による量子もつれ生成の検証を行うのに最適な理論模型について議論する。
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