Project/Area Number |
22KJ2529
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Project/Area Number (Other) |
22J11944 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 南美子 鹿児島大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | シカ / 電気柵 / 色覚 / 視野 / 嗅覚 / オペラント条件付け / 跳躍 / 通り抜け |
Outline of Research at the Start |
電気柵は電線に接触した動物が感電による痛みを忌避学習することで,柵内への侵入を抑制するものである.一方,シカが草地に設置した電気柵を通り抜け,侵入するケースが問題視されている.これまでの研究ではシカが優れた視覚と嗅覚を用いて柵を認識しており,跳躍ではなく下部から電気柵を通り抜ける行動に関しては,その下向きの視野が関係していることが示唆された. そこで,本研究では草地におけるシカの視覚心理を利用した侵入防止柵を開発することを目的とし,通り抜けを断念する併用柵(電気柵に物理柵を組み合わせたもの)の両者の張設条件を解明した上で,実際に草地に設置すると想定した場合の有用性を多面的に評価する.
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Outline of Annual Research Achievements |
飼育キュウシュウジカ成獣4頭のうち2頭(オス・メス各1頭,体高:70~78 cm)を用いて,シカの視覚特性を利用し,ネット柵に併用する最適な電線の段数並びに高さの検討を行った. ネット柵(高さ120 cm)のみの提示を対照区とし,対照区の30 cm手前に,電線に見立てた白色紐を1段(頭部を下げたくぐり抜けを必ず行う高さ:90 cm),2段(高さ90,135 cmまたは90,150 cm)および3段(高さ45,90および135 cm)をそれぞれ併用した.対照区に架線1段(高さ90 cm)を併用した場合,架線上部から跳躍で侵入する行動がみられたものの,架線2段ではほとんど観察されなくなった.侵入阻止率は架線2段で94~100 %,架線3段では95~100 %と,両個体ともに対照区および架線1段より高い侵入阻止率を示した(P<0.05).架線高90 cmの下をくぐり抜けた後の目線および行動や,最上段(135または150 cm)の架線を警戒しながら接近・視認し,触れることなく引き返す行動等から,これらは視覚的にシカの侵入を断念させる効果があることが示唆された.加えて,架線提示直後には口唇で高さ45 cmまたは90 cmの架線に接触する行動がみられた. 以上より,実際に草地への利用を考えた際にはネット柵(高さ120 cm)に2段張り電気柵(高さ90,135 cm)を併用することで,高いシカ侵入防止効果が得られるとともに,架線高45 cmを加えた3段張り電気柵によって成獣および幼獣に対しても口唇での接触を誘発できる可能性が示された. 本研究では侵入防止柵の認識に関わる飼育キュウシュウジカの色識別能力,嗅覚,前方視野を解明し,通り抜けを断念する併用柵の両者の張設条件を明らかにした.研究期間全体を通して,シカの視覚心理を利用した侵入防止柵の開発へ向けた基礎および応用研究を遂行できた.
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