Project/Area Number |
22KJ2592
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Project/Area Number (Other) |
22J21804 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
大熊 夏実 京都市立芸術大学, 芸術学専攻, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 西洋美術史 / イタリア・ルネサンス / ティツィアーノ / ラファエロ |
Outline of Research at the Start |
イタリア・ルネサンスを代表する画家、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1488/90-1576)とラファエロ・サンツィ(1483-1520)の相互関係は、これまであまり深く掘り下げられてこなかった。しかし、16世紀前半においてティツィアーノを取り巻くパトロンや注文状況に鑑みると、彼はこの時期にラファエロを強く意識せざるを得なかったと思われる。本研究では、外観上の類似が指摘されつつもその関連性の実態には踏み込まれてこなかった両者の作品を多角的な視点で再検討することで、実際に彼らが互いの情報をどのようにして獲得し、何故その作品を参照し、何を学び、どう乗り越えようとしたのかといった具体的な実情に迫る。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度には、およそ1ヶ月にわたってイタリア諸都市の美術館・博物館、聖堂、宮廷等を訪れ、本研究のメイントピックとなる作品を中心に実見調査を行った。また、国内では良いカラー図版が入手出来なかった作品について、全体写真および細部写真を撮影することが出来た。ティツィアーノ作品が飾られていたフェラーラのエステンセ城やマントヴァのパラッツォ・ドゥカーレでは、建築構造や各部屋のスケール感、扉の高さなどを実際に確認したほか、平面図が豊富に掲載されたカタログを入手した。また、マントヴァのテ離宮ではジュリオ・ロマーノによる壁画装飾を詳細に観察することができ、ティツィアーノの《マグダラ》とラファエロの《聖カタリナ》の事例研究を発展させるためのインスピレーションを得ることができた。両作には、右手で胸を隠し左手で下腹部を覆う聖女のポーズにおいて類似が指摘されるが、これは当時ローマで発掘され話題を呼んだ古代のヴィーナス像に由来するとされる。テ離宮の壁画において、ジュリオも同様のポーズのヴィーナス像を描いており(1526-28年)、ティツィアーノのローマ訪問(1545年)前の作品である《マグダラ》に少なからず影響を与えた可能性が考えられるのである。 また、《マグダラ》と《聖カタリナ》の事例研究のための事前調査として、中世から16 世紀における聖人半身像絵画の展開を整理し、ティツィアーノとラファエロによる聖女像の位置づけを検討した。その結果、半身像の聖人を表す単独の絵画形式そのものが16 世紀当時発展途上にあったことや、ヴィーナス像からの引用とされる聖女の腕のポーズが両作に特有のものであることが分かった。なお本リサーチ結果については、所属大学の紀要に投稿した。 その他、前年度にコロキウムで発表したティツィアーノの《コインを持つキリスト》について、英語論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で扱う重要作品の実見調査を行ったほか、今年度の取り組み課題であったティツィアーノの《マグダラ》とラファエロの《聖カタリナ》の事例研究に関して成果発表を行うことができた。また、博士論文の全体構想および2章分の執筆を行い、中間発表では博士3年次での提出に向けて先生方からご助言を頂いた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、博士論文の執筆を中心に進める。また、次年度の夏頃に、博士論文のための補足調査として、イタリアの文書館等での史料調査を行いたいと考えている。
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