脳オルガノイドを用いた細胞間相互作用解析によるレット症候群の病態解明
Project/Area Number |
22KJ2656
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Project/Area Number (Other) |
20J40121 (2020-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2020-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野田(安藤) 友子 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2024-02-13 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 脳オルガノイド / ヒトiPS細胞 / レット症候群 |
Outline of Research at the Start |
レット症候群は女児に見られる遺伝性の小児疾患であり、進行性の精神・神経発達疾患である。本研究では、多様な神経細胞を作出することが可能であるヒトiPS細胞を利用し、脳オルガノイドとよばれるヒト脳を模した複数の細胞種を含む細胞凝集塊を作製する。患者由来のヒトiPS細胞を用いて脳オルガノイドを作製することで、患者脳における微小環境を再現した試験管内モデルとして利用する。得られた脳オルガノイドに対し、1細胞RNA-seq技術を用いて1細胞レベルの集合体として解析を実施し、個々の遺伝子発現の差異を明らかにすることで、これまで不明だった疾患の発症機転に関与する細胞種の同定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、レット症候群患者由来iPS細胞を用いて、脳の3次元構造を模した脳オルガノイドを介した、神経細胞・アストロサイト・ミクログリアなどの細胞間相互作用の影響を解明することを目的としている。これまでの研究成果として、健常者由来iPS細胞およびレット症候群患者由来iPS細胞のいずれからも、脳オルガノイドを作製する培養系を最適化した。 しかしながら、作製された脳オルガノイドはヒト脳の発生初期のような構造的多様性を有してはいたものの、得られた脳オルガノイドの大きさが不均一であり、脳オルガノイド中に含まれる細胞群の大半が神経細胞で占められていた。加えて、この脳オルガノイドは浮遊系で培養していることもあり、培養中に脳オルガノイド同士が融合するなどの問題点が生じることが明らかとなった。 このような脳オルガノイドの不均一性を解消するべく、令和4年度では構造体の均一性に着目した脳オルガノイドの作出に取り組んだ。細胞の接着領域を加工した細胞培養プレートを用いることで、従来法の浮遊培養を介さずにiPS細胞からほぼ均一な大きさの脳オルガノイドを作出することが可能となった。そこで健常者由来iPS細胞およびレット症候群患者由来iPS細胞を用いて、この新規手法にて脳オルガノイドを作製し、さらに神経細胞へと終末分化を試みた。得られた神経細胞凝集塊を免疫染色法にて解析したところ、神経細胞マーカーMAP2、シナプスマーカーの1つとして知られるSYN1、アストロサイトマーカーのGFAPを検出することができた。以上の結果から、脳オルガノイドを経て、複数の細胞種が混在する神経細胞凝集塊の作製に成功したと言える。 なお、今年度は所属グループで実施していた研究の細胞培養にかかわる部分に参画していたため、共著論文を1報報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一四半期はこれまで得られた知見をもとに、作製された脳オルガノイドの基本的な性質を明らかにすることを実施した。その際、脳オルガノイドの大きさの不均一性が生じることが明らかとなった。この不均一性を解消するべく、第一四半期以降は特殊な細胞培養プレートを用いることで脳オルガノイドの培養方法を改変し、問題点を解決することが可能となった。また、単一の培養器材を利用することで神経細胞への分化誘導の簡便化を図ることができ、研究の目的である神経細胞・アストロサイト・ミクログリアなどの細胞間相互作用の影響を解明することに直結している。この手法を新たに確立したことで、研究の根幹技術のさらなる発展につながったと考えらえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は新たに、脳オルガノイドを介した複数の細胞種を含む細胞凝集塊の作出に成功した。また、神経細胞へと終末分化させることができたため、現在これらの細胞凝集塊を1細胞RNA-seq解析を実施する準備に入っている。この神経細胞凝集塊に含有される細胞種の特定や、各細胞におけるレット症候群の責任遺伝子であるMeCP2の有無による発現差異について解明することが期待される。同時に、組織学的な解析を行うことで、神経細胞の形態に着目した解析も実施予定である。 また、得られた神経細胞凝集塊にはアストロサイトの含有が明らかとなったが、ミクログリアの含有は不透明であった。より患者の脳内環境に近い脳オルガノイド・神経細胞凝集塊の作製にむけて、健常対照群iPS細胞からミクログリアの高効率な誘導法を検討する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)
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[Journal Article] MeCP2 controls neural stem cell fate specification through miR-199a-mediated inhibition of BMP-Smad signaling2021
Author(s)
Hideyuki Nakashima, Keita Tsujimura, Koichiro Irie, Takuya Imamura, Cleber A Trujillo, Masataka Ishizu, Masahiro Uesaka, Miao Pan, Hirofumi Noguchi, Tomoko Andoh-Noda, Hideyuki Okano, Alysson R Muotri, Kinichi Nakashima
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Journal Title
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research