Project/Area Number |
22KJ2711
|
Project/Area Number (Other) |
22J20821 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 37010:Bio-related chemistry
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮本 恵里花 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβタンパク質 / 環状ペプチド / ガングリオシド / 原子間力顕微鏡 / 脂質ラフト |
Outline of Research at the Start |
本研究は、アルツハイマー病発症の原因であるアミロイドβタンパク質(Aβ)凝集について、起点となる生体膜上の現象に焦点を当て、発症メカニズムの解明および新規凝集阻害剤の開発を目指す。様々なAβ凝集体の中でも、細胞膜上の糖脂質に誘起される凝集体は、凝集の起点となり、高い細胞毒性を呈す。そこで本研究では、患者脳内の細胞膜上で誘起されるAβ凝集を再現し評価する技術を確立する。さらに、凝集の起点に作用する糖脂質認識ペプチドを開発し、機能を評価することで、凝集阻害剤としての応用を目指す。本研究で取り組む、膜上の分子挙動を再現し評価する技術は、様々な疾患や感染症に関連する膜上の現象解明への応用が期待できる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病 (AD)の原因タンパク質であるアミロイドβタンパク質 (Aβ) は、脳内で凝集することで細胞毒性を示す。特に高毒性なAβ凝集体の形成は、細胞膜上の脂質ラフト領域に存在するガングリオシドに促進される。本研究ではAβ凝集の起点となるガングリオシドとAβの相互作用に着目し、Aβ凝集を再現する平面膜モデルを構築し、さらにAβ凝集阻害剤を開発することを目的とした。 まず脂質ラフトを模倣した平面膜デバイスを作製し、膜上でガングリオシドに誘起されるAβ凝集を再現できる平面膜モデルを構築した。さらに、これまでにファージ提示法で同定されたガングリオシド結合性ペプチドの立体構造をもとに環状ペプチドを合成した。平面膜デバイスを用いた原子間力顕微鏡 (AFM) 観察などの評価の結果、環状ペプチドが高いAβ凝集阻害能を有することを明らかにした。 次に、よりAD患者脳内の環境を模倣した膜モデルを構築するために、軽度認知障害患者の剖検脳皮質から調製された、楔前部(Aβ凝集好発部位)と鳥距溝(Aβ凝集回避部位)由来のシナプス膜脂質を用いて再構成膜デバイスを作製した。このヒト脳脂質由来の膜デバイスとAβを相互作用させ、AD患者脳内環境を模倣した膜モデルを構築した。構築した膜モデルにおいて、楔前部におけるAβ凝集の促進の再現に成功したことをAFM観察により確認した。また、膜デバイスを表面プラズモン共鳴法などに応用し、ヒト脳領域特異的なAβ凝集の定量的な評価系構築に成功した。 最後に、本研究で構築したヒト脳脂質由来の再構成膜を用いた評価系を、これまでに開発したAβ凝集阻害剤である環状ペプチドの機能評価に応用した。その結果、環状ペプチドが楔前部由来の再構成膜上において促進されるAβ凝集に対する阻害能を有することが明らかになり、AD治療薬としての可能性が示された。
|