Project/Area Number |
22KJ2787
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Project/Area Number (Other) |
22J40125 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中村 紘子 (2023) 東京電機大学, 理工学, 特別研究員(RPD)
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Research Fellow |
中村 紘子 (2022) 東京電機大学, 理工学, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 反実仮想 / 因果推論 / 条件推論 / 責任帰属 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画では、「もしAだったらBだっただろう」という反実仮想が、出来事のありえそうな確率にどのような影響を与えるかを調査する。研究1では、架空のシナリオや自身の過去の体験に対する反実仮想が、出来事の確率の認知にどのような影響を与えるかを検証する。研究2では、この反実仮想が確率の認知に与える影響が、文化間でどのように異なるかを調べ、研究3では反実仮想が確率の認知を介して因果関係や責任の判断に影響するかを明らかにする。この研究により、反実仮想の心理学的プロセスや異文化間でのコミュニケーションに関する理解が深まることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、「もしAならばBだっただろう」という反実仮想が、出来事の生起確率判断や因果判断へ及ぼす影響、およびその文化差を明らかにすることを目的としている。2023年度は、この課題に沿った実験や調査を行い、一部の成果を学会で報告した。 中村・高橋 (2023) およびNakamura, Ogura, Matsumoto & Takahashi (2023) では、話者間の関係性が条件文や反実仮想条件文の解釈と推論にどのように影響するかを検討した。その結果、話者間の親密性や社会的地位の違いにより、同じ条件文でも解釈が異なり、推論が変化することが示された。関係が悪い場合や立場が弱い場合、曖昧な条件文が訂正を意図したものと解釈され、条件推論が抑制されることがわかった。これは、文脈や社会的関係により推論が変化することを示唆しており、条件推論や反実仮想の文化差を検討する際、対人関係の捉え方の違いを考慮する必要がある。 金子・高橋・中村 (2023) では、条件文の解釈における視点取得の効果を検討した。その結果、書き手の視点から推論すると、グライスの会話の公理が直感的に適用され、妥当性に関わらず全ての推論が受け入れられやすい傾向があった。この結果は、視点取得が条件文を用いたコミュニケーションにおける推論プロセスに重要な影響を与えることを示しており、コミュニケーションの理解深化や教育への応用が期待される。 今年度の研究結果は、反実仮想条件文に基づく確率判断と因果推論に関する基礎的知見を提供するとともに、条件文や反実仮想条件文の解釈に社会的要因や視点取得が影響するという日常的な推論の特性も明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、反実仮想推論や条件推論における文脈や対人関係の影響を明らかにした。これらの結果は、反実仮想推論への社会的要因の影響を示しており、反実仮想の文化差を検討するという、本研究の目的を達成する上で重要な知見が得られたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題では、これまでの研究で反実仮想が因果判断に与える影響の基礎的な知見や、対人関係など社会的要因の影響に関する知見が得られていた。2024年度は、これらの知見を踏まえて、責任帰属などの日常的な判断における反実仮想の影響を検討するとともに、研究全体の取りまとめを行う予定である。 反実仮想は事象間の因果関係を強調し、責任帰属に影響を与えるが、社会的文脈によっては反実仮想推論が変化し、責任帰属への影響も変わる可能性は十分検討されていない。対人関係や文化的背景によって、反実仮想に基づく責任の所在についての判断が異なることが考えられるため、対人関係を操作したシナリオを用いて反実仮想と因果判断、責任帰属の関係を明らかにする。 これまでの研究成果について、国内外の学会で発表し、論文にまとめて学術誌に投稿する予定である。研究全体を総括し、反実仮想が因果判断に与える影響および反実仮想と責任帰属の関係について、具体的な体系的知見を提示することを目指す。
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