Project/Area Number |
22KJ2806
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Project/Area Number (Other) |
22J11422 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
千代 祐太朗 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 誘引・反発型走化性方程式 / 解の有界性 / 解の漸近挙動 / 解の有限時刻爆発 / 非線形拡散 / 非線形発展方程式 |
Outline of Research at the Start |
方程式で対象とする腫瘍血管新生走化性方程式系は,腫瘍の形成過程を記述する方程式系であり,近年研究が始まったばかりの発展途上の問題である。この方程式系の研究は,方程式の一部を簡略化するなど限定的な場合には行なわれているが,一般化された形での研究はなく,課題が山積している。この方程式系の研究に向けて,類似した数理構造をもつ誘引・反発型走化性方程式系の解析を行ない,得られた知見を活かして腫瘍血管新生走化性方程式系の研究を推進する。本研究は,腫瘍血管の形成のメカニズムを解明することで,生物学,医学への応用も見込める点で意義深いものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,準線形走化性方程式系に対する数学的研究基盤の構築に向けて,誘引・反発型走化性方程式系及び関連する数理生物モデルの解挙動を導出した。具体的には,以下の三つの方程式系について考察した。 (1) 拡散項,誘引項,反発項が準線形構造をもつ誘引・反発型走化性方程式系 (2) 感受性関数をもつ完全放物型腫瘍血管新生走化性方程式系 (3) 非局所項をもつ走化性方程式系 (1)については,横田智巳氏(東京理科大学)との共同研究により,完全放物型で感受性関数を含む場合と,放物・楕円・楕円型で誘引項と反発項の強さを表す指数及び係数の大小関係が釣り合った場合の解の有界性を導出した。後者については,有界な解の漸近挙動も決定した。また,放物・放物・楕円型の場合に,最大正則性原理により解の有界性を導出し,有界な解の漸近挙動を決定した。さらに,Silvia Frassu氏,Giuseppe Viglialoro氏(Cagliari大学,イタリア)との共同研究により,有界性を保証する条件を,拡散項,誘引項,反発項に現れる指数に関する条件として与えた。(2)については,水上雅昭氏(京都教育大学)との共同研究により解の有界性を導出した。(3)については,Silvia Frassu氏,Giuseppe Viglialoro氏との共同研究により,放物型方程式に対する評価を用いて,有界性を保証する条件を,非局所項の指数の条件として与えた。上記の成果のうち,(3)は論文をまとめている最中である。その他の成果は論文としてまとめ国際専門誌に投稿し,(2), (3)以外は掲載決定している。また,これらの研究成果は,「The 6th International Workshop on Mathematical Analysis of Chemotaxis」,「2023年度日本数学会年会」などの国内外の研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,準線形走化性方程式系の解挙動に関して,期待通りあるいはそれ以上の成果が得られた。準線形構造をもつ誘引・反発型走化性方程式系の解挙動については,方程式に一般性をもたせた場合の解の有界性が得られたほか,誘引項と反発項の効果のバランスにより解の有界性と爆発を分類できたことが大きな成果である。これらの成果は,いずれも横田智巳氏(東京理科大学)との共著論文としてまとめ,前者は国際専門誌『Nonlinear Analysis. Real World Applications』に,後者は『Zeitschrift fur angewandte Mathematik und Physik』に,それぞれ掲載が決定した.また,腫瘍血管新生走化性方程式系の解挙動については,これまでの誘引・反発型走化性方程式系の研究で得られた洞察から,解の有界性を得るための手法の見当がついていた。それをもとに計算を実行し,期待通りの成果を得ることができた。この成果は,水上雅昭氏(京都教育大学)との共著論文としてまとめ,国際専門誌に投稿した。さらに,非局所項をもつ走化性方程式系の研究は,2022年6月~7月にSilvia Frassu氏,Giuseppe Viglialoro氏(イタリア,カリアリ大学)のもとを訪問した際に生まれた課題で,イタリア滞在中に解の有界性を導出し,現在論文としてまとめている。これは当初の計画にはなかった課題であり,またこれまでに研究代表者が扱ってこなかった新しい方程式であるため,研究の幅を広げることができた。さらに,2023年2月にはJohannes Lankeit氏(ドイツ,ハノーファー大学)のもとを訪問し,準線形走化性方程式系の解の爆発に関する共同研究を開始し,結果が得られる目途が立っている。上記のことから,本研究は当初の計画以上に進展している,と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究では,Silvia Frassu氏,Giuseppe Viglialoro氏(イタリア,カリアリ大学)との共同研究である非局所項をもつ走化性方程式系の解の有界性の結果を論文を完成させ投稿する。また,Johannes Lankeit氏(ドイツ,ハノーファー大学)との共同研究である準線形走化性方程式系の解の爆発について,結果をより良いものにできるよう考察を進める。また,誘引・反発型走化性方程式系の解挙動の分類における洞察から,腫瘍血管新生走化性方程式系についても,方程式に含まれる係数の大小関係により解挙動が分類できると期待されるので,その考察も行なう予定である。さらに,今後の研究を大きく推進させるため,「The 13th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications」(2023年5月~6月・アメリカ)をはじめとする国際研究集会での研究成果発表を行なう。また,Silvia Frassu氏,Giuseppe Viglialoro氏,Johannes Lankeit氏との国際研究交流も積極的に行ない,非局所項をもつ走化性方程式系の解挙動や,準線形走化性方程式の解の爆発の研究を推進する.さらに,得られた研究成果を,国内外の研究集会において発表し,走化性方程式系の研究者からの見解を得る。研究代表者とは異なる手法,例えば実解析的手法を用いた研究をされている方との交流により,新たな手法や視点の獲得につながると期待される。また,モデリング,数値シミュレーションを専門とされている方との交流もできれば,研究の幅が大きく広がり,今後の研究活動に活かせると考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)