将来の航空管制のための機械学習とルールに基づく航空交通システムの構築
Project/Area Number |
22KJ2817
|
Project/Area Number (Other) |
22J22970 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 24010:Aerospace engineering-related
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
関根 將弘 東京理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 航空交通管理 / 航空管制 / シミュレーション実験 / 複雑系 |
Outline of Research at the Start |
航空需要増大に伴い,空港周辺の混雑緩和が喫緊の課題である.そこで,空港への到着順序・間隔を早期に設定し,減速等を指示する運用が検討されている.この運用による航空路管制官の負担軽減を目指し,本研究では機械学習と高度化されたルールに基づく航空交通システムを構築する.時間の不確実性や管制官の間隔調整など従来は表現が困難だった要素を,日本全国を模擬したルールベースのシミュレータへ組み込む.そして,機械学習で算出した高精度な到着予測時間に基づき,速度を多目的最適化する中で,航空交通システム全体を効率化する速度制御ルールを構築する.最後に,獲得ルールの実用性をリアルタイムシミュレーションで評価する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
将来の航空交通の需要増加に伴い,航空路管制官が,混雑空港への到着機に対して戦略的に速度制御する必要性が出てきた.ただし,航空交通流全体を処理するために,局所的ではなく,航空管制システム全体の技術革新が必要である.本研究では,機械学習と高度化されたルールに基づく全体最適な航空交通システムを構築することを目的として,本年度は航空交通モデルの拡張整備および検証を行ってきた.BADAの軌道予測とMSM風向風速予測の2つの物理モデルと管制を模擬したセルオートマトンによる間隔調整ルールを用いて,従来の方程式ベースではなくルールベースで日本全国の航空交通流をモデル化し,初期的数値実験を成功させた. 具体的には,日本の空域である福岡FIRを通過する定期航空便を対象として,実際の航空交通・気象データ及び空域・経路・ウェイポイントなどのアダプテーションデータ等を利用し,シミュレーション対象とする時間帯において飛行計画に沿って航空交通を発生させ,数値実験を実施した. その結果,実際の間隔調整を考慮した飛行距離や時間,日本全国の空港における1時間あたりの離着陸流量を表現できると同時に,セルオートマトンの最適なパラメータ範囲を明らかにした.そして,従来のボトルネックとされていた羽田空港だけでなく,他の日本全国の路線も同程度の遅延時間を占めており,それらを含めた離陸時刻・巡航速度制御等の流量管理が有効であることを定量的に示した.さらに,当該モデルを活用し,東京国際空港到着機対象ではあるが,多目的最適化によって得られた最適な速度制御を,機械学習手法の1つである決定木により人間が解釈可能なルールとして可視化できることも明らかにした.これらの研究成果を,ジャーナル論文1篇や学会発表論文3篇等にまとめて発表した. 最終年度に行うヒューマンインザループシミュレーション実験の環境構築やデモンストレーションにも着手した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を作成した当初は,深層学習により航空機の到着時間を予測するモデルを構築する予定であったが,既発表の予測モデルでも当初予定していた誤差1分以内を十分達成可能であること,一方これまで用いてきた羽田空港到着機を対象とした航空交通流モデルが日本全国の航空機を対象とする際に実運航を模擬できるルールやパラメータ設定が変わることが研究遂行中に判明したという理由から予測モデルを含めた航空交通流モデルの構築に変更した.そのため,研究計画の変更が生じたが,当初予定していた時間予測を含めた航空交通流モデル構築について,当初予定していた進捗状況を実現しており,結果をジャーナル論文1篇や学会発表論文3篇等にまとめて発表するなど,研究成果の公表も順調である.課題となっていた,実運航を再現するセルオートマトンの最適なルールとそのパラメータ範囲も明らかにすることができた. そして本年度中に,構築した航空交通流モデルを活用して,機械学習手法の一つである決定木により,現行の航空交通を革新する速度制御の初期的なルール抽出にも成功している.来年度には,日本全国の航空交通流の多目的最適化を実現し,機械学習手法を用いてルール抽出を行う目処がついている. さらに,最終年度に行うヒューマンインザループシミュレーション実験について,時間を要する環境構築と実験デモンストレーションも同時に着手するなど,研究目的の達成に向けた着実な進捗状況である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に沿って,機械学習と高度化されたルールに基づく全体最適な航空交通システムを構築することを目指した研究を実施する. 来年度は,日本全国の航空交通流の多目的最適化及び,航空管制全体のルールの高度化を行う.本年度構築したシミュレータは日本を飛行する航空機の挙動を2つのパラメータのみで決定している.そこで,速度制御コマンドも扱うようルールを高度化する.その方法として,まずは速度制御コマンドの多目的最適化を実施し,最適な速度制御コマンドを取得する.多目的最適化の設計変数は各航空機の速度制御コマンド,目的関数は遅延時間や消費燃料の最小化とする.本最適化は多目的進化計算で行い,得られた非劣解集合を仮想的な設計データベースとみなし,機械学習手法を用いて価値ある航空管制のルール抽出・創出を行う.まずは多目的最適化における設計変数に相当する速度制御コマンドを,機械学習の教師データのクラスラベルとする.次に最適な速度制御コマンドに対応する航空交通の局所的な情報を取得し,これを機械学習の教師データの特徴量とする.作成した教師データを機械学習により学習させ,局所的な情報を基に最適な速度制御コマンドを算出するモデルを構築する.本モデルを前年度までに構築した交通流シミュレータに組み込んだシミュレーションを行い,状況に応じて使われたルールを分析することで,実運用へ寄与する. 評価結果等をもとに,本年度に提案した航空交通流モデルを発展させて,より良い航空交通システムを提案し,研究成果を学術論文などにまとめて積極的に公表する予定である.
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)