Project/Area Number |
22KJ2860
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Project/Area Number (Other) |
22J00456 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
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Research Institution | The University of Tokyo (2023) Rikkyo University (2022) |
Principal Investigator |
宇野 究人 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 多感覚統合 / 時間的再較正 / 急速再較正 / 腹話術効果 / 因果推定 / 時間知覚 |
Outline of Research at the Start |
ヒトは複数の感覚器官(視覚・聴覚など)から得られた情報を脳内で統合することにより外部世界を知覚・認知している。この「多感覚統合」処理は,直近の知覚経験に基づき柔軟に変化することが知られている(多感覚統合の再較正)。 本研究では,「複数の感覚情報が共通の発生源から生じているか否か」に関する観察者の推定(因果推定)が多感覚統合の再較正の手がかりとして用いられる可能性について検討する。視覚・聴覚・触覚情報を組み合わせた心理物理実験を用いて観察者の因果推定が再較正プロセスに与える影響を調べることにより,正確かつ安定した知覚世界を構築する上で再較正がどのような機能的意義を果たしているのか明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの脳内における多感覚統合の再較正(知覚経験に基づく変化)において,多感覚事象の発生源に関する観察者の推定(因果推定)がどのように影響するか解明するための研究を進めた。本年度の具体的な成果は以下の通りである。 (1)光と音の空間的な統合処理が直近の知覚経験に基づきどのように再較正されるか明らかにするため,超短焦点プロジェクターとヘッドフォンを用いた一連の心理実験を行った。まず,光と音をわずかにずらして呈示すると統合処理によって音の知覚される位置が変化するという現象(腹話術効果)が生じることを確認した。この腹話術効果(すなわち,光と音の空間統合)の生じ方が直近の知覚経験に基づき再較正されるか調べるため,光の空間的なばらつきや光と音の距離等を系統的に操作し,文脈変調の効果が生じるか調べた。しかし,当初の予想とは異なり,直近の知覚経験に基づく統合様式の変化は見出されなかった。 (2)本プロジェクトの前年度の研究では,光と音の時間ずれに対する即時的な再較正のメカニズムを調べる実験を行い,観察者の因果推定とは独立に再較正が生じることを示した。本年度はこの知見に関する取りまとめを行い,その成果が学術論文として国際査読誌に掲載された。また,国内外の学会で本成果に関する対外発表を行った。 (3)本研究のプロジェクトおよびその派生プロジェクトに関する研究成果について,上記の学術論文に加え,1編の論文が国際査読誌に掲載された。また,国内の学会および研究会で対外発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピーカーやヘッドフォンに加え,超短焦点プロジェクターを実験環境に導入したことで,音や光を時空間的に正確かつ柔軟に操作可能な実験環境を整えることができた。その上で,予定していた人数の心理実験(対面)を行い,予想していた因果推定の影響は見られなかったものの光と音の空間統合の再較正を厳密に定量化し,新たな知見を得ることができた。加えて,前年度の心理実験で示された時間ずれに対する再較正と因果推定の関係についての知見をまとめ,国際査読誌及び国内外の学会で成果を発表することができた。以上の理由より,おおむね計画通りに研究を進展されることができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度及び本年度の研究の結果,多感覚統合の再較正の時間スケール(知覚変化の生じ方)は一様ではなく,因果推定の効果は再較正の時間スケールによって変化する可能性が新たに示されてきた。来年度にはこの可能性を裏付けるための心理実験を行い,これまでの知見と合わせてプロジェクト全体の成果をまとめる。また,視覚・聴覚間で示された関係性が,触覚を含めた感覚の組み合わせにも汎化可能であるか検討する。
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