Project/Area Number |
22KJ2874
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Project/Area Number (Other) |
21J01189 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | The University of Tokyo (2023) Waseda University (2021-2022) |
Principal Investigator |
阿部 崇史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 平等主義 / 社会正義論 / 自律 / 責任 / 貧困 / 教育 / 社会保障 / ベーシック・インカム / 選択 / 関係論的平等主義 / 運の平等主義 / 自由 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、教育や社会保障といった福祉国家的諸制度と、富の分配プロセスを統制する市場経済の諸制度とを、一貫した規範的観点から構想する。ここで依拠する規範的理念は、自ら構想する生き方を選択によって実現していく自律的存在として、人々を平等に尊重すべきだという理念である。本研究はまず、この理念から選択責任の構想を導出する。ここでは、諸個人と社会との負担分担を決めるものとして責任の構想を捉え、適切な選択を行いその帰結を引き受ける責任を諸個人に課し、諸個人が自律的な選択を行うための適切な環境を整備する責任を社会に課す。次に、この選択責任の構想に沿って、福祉国家的諸制度と市場経済の諸制度を構想する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023度は、主に、以下の4つの研究を実施した。 第1に、自律的行為者への平等な尊重という理念に基づく社会構想の正当化が、どのような推論方法をとるべきかを明らかにした。この研究は、石田柊氏および宮本雅也氏との共同研究を軸に進展を図った。これについては、まず、4月に行われた国際ワークショップで研究報告を行なった。次に、そこで得たコメントへの応答を通じて、議論をさらに発展させた。この成果は、現在、国際査読誌への掲載を目指している。 第2に、自律的行為者への平等な尊重という理念に基づき、屈辱性批判と呼ばれる批判に応答可能な運の平等主義の議論を提示した。これについては、まず、9月に行われた日本政治学会で研究報告を行なった。その上で、そこで得たコメントへの応答を通じて原稿を改訂し、現在、査読誌への掲載を目指している。 第3に、より具体的な社会制度の提案として、貧困対策において教育が果たすべき役割を再検討した上で、教育と社会保障がどのように協働すべきかを明らかにする研究を行なった。この研究は、数実浩佑氏および宮本雅也氏との共同研究を軸に実施した。まず、9月に行われた日本教育社会学会で研究報告を行い、多くのコメントを得た。次に、それを踏まえて発展させた議論を、2024年1月に国立社会保障・人口問題研究所で報告した。この成果は、現在、査読誌への掲載を目指している。 第4に、もう一つの具体的な社会制度の提案として、自律的行為者への平等な尊重という理念から、無条件かつ一律給付のベーシック・インカムが正当化されると示す研究を行なった。この研究は、榊原清玄氏との共同研究を中心に実施した。ここでは、選択肢の多様性と自尊心の確保を両立するために、ベーシック・インカムの導入が有効だと示した。この成果は、『社会と倫理』第39号に、査読付き論文として掲載されることが決定している。
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