Project/Area Number |
22KJ2886
|
Project/Area Number (Other) |
21J21947 (2021-2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
|
Research Institution | The University of Tokyo (2023) Waseda University (2021-2022) |
Principal Investigator |
高桑 聖仁 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | フレキシブルエレクトロニクス / 柔軟接合技術 / 水蒸気プラズマアシスト接合 / フレキシブルエレクトロニクス実装技術 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、別々の高分子ポリマー薄膜基板上に形成した金属同士の直接導電接合技術の開発が目的である。具体的には、水蒸気プラズマによる水素結合と金属結合の誘発によって、接着剤を介さずに薄膜電極同士の導電接合を目指し、柔軟で高精細、低接触抵抗という特徴を有した新たな導電接合技術を提案するものである。そして、フレキシブルエレクトロニク同士の接合に応用し、素子および接合部のシステム全体が柔軟なウェアラブルエレクトロニクスシステムへの実装技術としての応用展開を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、金の直接接合のための水蒸気プラズマ処理の最適化には、接合体の剥離試験による結果を用いて判別していたが、本年度はプラズマ状態を同定するプラズマプロセスモニタを導入し、プラズマ状態と接合結果の比較評価をおこなった。その結果、水蒸気をガス源とする水蒸気プラズマは、プラズマの電圧やガス流量により処理中の反応室内のプラズマ状態が大きく変化することを確認した。電圧が高くなると水蒸気ガスの電離が促進し、電圧が低い状態に比べOH基の存在比が低下し酸素の存在比が増加した。一方で電圧が高いと直接接合は発現せず、電圧が50W程度であると直接接合が発現した。したがって、昨年度のXPS測定の結果と同様に、OH基が接合に対して寄与していることを改めて確認した。 また、金以外の金属に対しても接合が発現するか検討した結果、銀電極をパリレン基板上に蒸着したサンプルは、金同様に接合が発現することを確認した。走査型透過電子顕微鏡で断面を観察すると金接合同様に界面が消失しており、界面を越えたコントラスト変化が確認できたため、拡散による金属結合が発現していると考えられる。次に銅電極をパリレン基板上に蒸着したサンプルの直接接合を試みたが接合は確認できなかった。金、銀と異なり、水蒸気プラズマ処理後に銅表面が変色しており、水蒸気プラズマによる化学的な反応が生じてしまうことを確認した。 水蒸気プラズマによる直接接合は金電極のみ接合が生じる。そのためフレキシブルエレクトロニクス同士の接合力は配線幅に依存してしまうが、その対策として配線及び接合用補助金パッドを接合面に設けることで、接合力と配線幅による接合力のトレードオフ関係を緩和できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
薄膜パリレン上の金電極を蒸着プロセスで作製し表面を最適化した水蒸気プラズマ処理により表面活性化させ、金電極同士を接着剤不要で直接接合する方法を開発した。その接合メカニズムを解明するために、断面方向と面方向の2つの方向から水蒸気プラズマ照射前後の化学的な結合状態をエネルギー分散型X線分析とX線光電子分光分析をそれぞれ用いて分析をおこなった。その結果、プラズマ処理後に金の表面の一部に水蒸気プラズマに含まれるOH基が存在する事がわかった。プラズマ状態を確認すると接合に使用する50W条件では、プラズマ処理中に含まれる因子の60%以上がOH基であることがわかり表面分析結果と相関が取れる結果を得た。よって、金表面のOH基が界面の密着性を高め、金同士の表面活性化接合を促進した結果、パリレン薄膜上に蒸着した金のような粗い表面同士(およそRms=7 nm)でも接合が達成できたと考えられる。大気中加熱試験と高温加湿試験による耐熱性評価と繰り返し曲げ試験と繰り返し圧縮試験による機械的耐久性評価、柔軟性試験を行い、従来手法との優位性を評価した。また配線技術としての電気的特性の評価も最小解像度試験と最小接合面積試験を通し、従来手法の異方導電性テープとの比較をおこない本手法の優位性を確認した。金電極以外の配線候補の探索として、銀と銅を用いて接合実験を行った。その結果銀配線は、プラズマ処理前後の処理を丁寧に行うことで金と同じプラズマ条件で直接接合を確認した。一方で銅配線は、水蒸気プラズマ処理と行うと表面が変色してしまい、接合を達成できなかったため、プラズマ条件の最適化を次年度も行う予定である。ただ、フレキシブルエレクトロニクスの集積化に向けた接合技術として金電極と水蒸気プラズマ処理による直接接合を開発し、従来の接着剤接合よりも優位性を確認しているため当初の計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
エレクトロニクスの安価な配線材料の候補として挙げられる銅は、現状水蒸気プラズマによる直接接合を発現できていない。本接合技術の汎用性を高めるためには、金や銀と同様に銅配線の接合も重要である。接合しない主な原因として、水蒸気プラズマ後の表面の変色が原因であると考えられる。水蒸気プラズマの出力を上げ、多くの水酸基を発生させると、表面が水酸化銅に近い色に変色し、数日間大気中放置すると変色前の銅の色に変化することを確認した。そのため金や銀の水蒸気プラズマ条件が銅には強すぎることが考えられる。しかし単純に処理電圧を下げると、プラズマ処理中の水酸基の量が減少することで、変色はしないが銅の直接接合も発現しないことを確認した。したがって次年度は、ガス源を変更することを計画している。水蒸気プラズマ時にアルゴンガスと水蒸気の混合ガスを使用することで、水酸基の過剰な表面付着を抑えつつ活性化させることを計画している。混合ガスを使用するとプラズマ状態が大きく変化することが予想されるので、プラズマプロセスモニタを適宜使用しつつ、金接合時の水酸基量を参考にプラズマ条件の最適化を図る。また上記がでも接合が困難な場合は、ガス源を変更しアルゴンガスプラズマでの銅の直接接合も試みる。 また、金と同様に銀接合が水蒸気プラズマで可能であると確認したため、銀接合の特性評価を行う。機械的評価として、剥離試験、繰り返し曲げ試験、電気的評価として、最小接合面積やラインアンドスペースの試験を行い接合特性を把握する。また水蒸気プラズマ前後の表面特性についてエネルギー分散型X線分析とX線光電子分光分析を用いて調査する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(11 results)