水素の高密度貯蔵・放出を担うレドックス有機高分子の創出
Project/Area Number |
22KJ2890
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Project/Area Number (Other) |
21J22661 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 35020:Polymer materials-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
海和 雄亮 早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 水素化 / 水素発生 / 一級アルコール / 高分子型水素貯蔵材料 |
Outline of Research at the Start |
水素社会の実現に向け、水素の製造、貯蔵、利用に関する研究が活発化している。しかし、貯蔵分野は発展が遅れており、気体水素や液体水素、多孔質カーボン、水素貯蔵合金、MOF、有機ハイドライド(例えば、トルエンの質量水素密度: 6 wt%)などあるが、そのほとんどが高温・高圧や極低温・高圧などの厳しい条件を必要とする。 本研究では、従来の水素貯蔵材料と一線を画した、温和な条件(常圧・100℃程度以下)でも可逆的に水素貯蔵・放出し、化学結合により室温、1気圧下で安全に水素貯蔵が可能な高分子材料を創出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
水素は、エネルギー密度が高く(142 kJ/g)、クリーンエネルギーとして注目されている。国内でも、水素の製造、貯蔵、使用に関して活発に研究されている。中でも、水素貯蔵は発展途上である。現在は、国内外において、化学結合を介して水素ガスを貯蔵できる液体有機ハイドライドが注目されており、錯体触媒存在下で水素貯蔵・放出できることが報告されている。本研究では、可逆的な水素化・水素発生が明らかとなっているフルオレノン/フルオレノールに比べ、コンパクトな分子構造である1-インダノンに着目、質量水素密度を保持するために主鎖骨格としてポリビニルを選択し、ポリ(ビニルインダノン)を合成した。同ポリマーは、Ir錯体触媒存在下、常温、水素フロー下、5時間で100%の水素付加体ポリ(ビニルインダノール)を生成した。その後。25-50℃の比較的低い温度において1-3時間で水素を放出した(167 mL/g, 1.5 wt%)。さらに、ゲル状であっても可逆的に水素化・水素発生することを明らかにした。これまでに、二級アルコールのポリマーによる水素貯蔵を可能にしてきた。一方で、質量水素密度は3wt%程度に留まってしまっていた。そこで、水素貯蔵部位を第一級アルコールへと拡張し、側鎖に二つのアルコール部位を持つポリ(ジアリルアルコール)を設計・合成した。その水素発生(547 mL/g, 4.5 wt%)を明らかにし、質量水素密度として有機ハイドライドと同程度を達成した。これは、高分子型水素貯蔵材料の実用化に向けて、非常に重要な結果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コンパクトな分子構造である1-インダノンに着目し、高分子合成した。同ポリマーの水素付加体は、Ir錯体触媒存在下、25-50℃の比較的低い温度において約一時間で100%水素発生するまでに至った。これは、最終年度に実施予定である燃料電池(80℃で稼働)への適用に役立つものであり、これを初年度に見出せたことは非常に大きな進展である。 さらに、質量水素密度の向上に関しては、研究計画では6wt%を最終目標と示していたが、水素貯蔵部位を二級アルコールから第一級アルコールへと拡張し、側鎖に二つのアルコール部位を持つポリ(ジアリルアルコール)を設計・合成した。これにより、一年度目にしてすでに4.5wt%を達成した。 以上のことを踏まえ、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策に関しては、(1)水素発生速度の向上、および、(2)さらなる水素貯蔵密度の向上の二点に重点を置く。(1)に関しては、一年目でフルオレノ―ル(アルコール)は、錯体触媒存在下、脱水素化してフルオレノン(ケトン)になる際、わずかに歪んだ構造から完全な平面に変化するため、他のアルコール類と比較し、熱力学的に有利になり、反応進行しやすいことを受け、1-インダノンに着目し、水素発生速度の向上を達成している。そのため、この結果を今後の水素貯蔵部位の選択に適用していく。 続いて、(2)に関しては、これまで窒素複素環式化合物の可逆的な水素化・水素発生を明らかにしている経緯から、窒素複素環式化合物の一種であるピリドピラジン(質量水素密度:6wt%程度)に着目し、高分子の合成およびその水素貯蔵能を明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)