Project/Area Number |
22KJ2893
|
Project/Area Number (Other) |
21J22803 (2021-2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
杉本 海里 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | 社会的認知 / 期待違反 / 社会的地位 / 幼児 / 認知負荷 / 収束的思考 / 児童発達 / 宗教的信念 |
Outline of Research at the Start |
期待を違反する言動をとる他者が記憶されやすい(期待違反効果)ことが知られている。期待違反効果は全ての発達段階において一様に見られるわけではなく、「ポジティブ期待の違反効果」と「ネガティブ期待の違反効果」の偏り方が成人と幼児で異なっている可能性などが指摘されている。期待違反効果の強さ、あるいはこのような傾向の偏りを説明する要因はまだ明らかではない。本研究では、期待違反のコンテクストや、期待違反体験者の心理・生理特性が期待違反効果へ与える影響を検討することで、期待違反効果の背景メカニズムを探る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、5・6歳の幼児が、他者の一般的期待に反する超常的振る舞い(3種類の振る舞い:心理的、物理学的、生物学的)と、その人物の社会的地位の高さを結びつけることを明らかにした研究成果を、査読付き国際誌に掲載した。また、期待違反に対する特異的な心理反応の一般性に関する知見を拡充するために、2者間のチャットコミュニケーションにおける感情的違反状態についても検討し、得られた成果を国内の研究会の研究報告書として公開した。さらに、期待違反効果における認知負荷の影響に着目し、認知負荷の客観的な定量測定手法の妥当性を確認するため、代表的な生理指標である脳波と認知的弛緩状態の関係性をメタアナリシスの手法を用いて解明し、その成果をまとめた論文をプレプリントとして公開した。 本研究課題では、研究期間全体を通して期待違反効果の理論拡張に寄与する研究を遂行し、従来の研究で検討されてきた顔記憶以外に権威性認知や情動認知などにおいても期待違反効果が見られることを解明した。得られた知見より、期待違反効果が予測誤差修正に基づく一般的な認知処理であるとともに、期待違反対象の処理に使用される認知資源量が特異的であることにとどまらず、社会的認知や情動処理、さらには意思決定にまでその影響が及ぶことが示唆された。幼児を対象とした権威性認知に関する知見などを踏まえると、これらの心的メカニズムを支える能力は早期発達段階ですでに形成されており、ヒトの認知処理に広範的に影響していると考えられる。さらに、対人認知過程における期待感の生起が、ヒューリスティック処理能力や内的・外的要因による認知負荷に影響される可能性を考慮し、これらと期待違反効果の関連も解明した。今後は、高次認知処理のみならず、低次認知処理における期待違反の影響についても詳しく検討する必要がある。
|