Project/Area Number |
22KJ2902
|
Project/Area Number (Other) |
22J00069 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
|
Research Institution | The University of Tokyo (2023) Waseda University (2022) |
Principal Investigator |
細川 瑠璃 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | ロシア思想 / カルサーヴィン / 東方キリスト教 / 20世紀の思想 / 宗教思想 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、20世紀初頭のロシア思想において、当時の思想家たちが共有していた「中世」への憧れがどのように作用したかを明らかにすることを目指している。ルネサンスを経験していないロシアにおいて、「中世」への憧れとは、そもそもが存在しないものへのノスタルジーであるのだが、それゆえに、「中世」への憧れ、幻想は、宗教思想からロシアの国家観、ナショナリズムをめぐる言説に至るまで、広く影響を与え続けており、その影響は今日のロシアにおいても依然として見られるものである。本研究は20世紀初頭の思想に対象を限定するが、その目指すところは、現代ロシアのありようとその向かう先を考察する上でも重要であると考えられる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀初頭のロシア思想において、個と全体の関係は宗教的文脈で大いに議論され、その中で、東方キリスト教における個の捉え方に関心が向けられていた。本年度は、東方キリスト教における個に関して、そのロシア思想における受容と照らし合わせながら研究を行い、その成果の一部を、第23回東方キリスト教学会主催シンポジウム「東方キリスト教における<個>の思想」でのコメントの形で発表した。また、20世紀初頭のロシア思想において、中世の思想や東方キリスト教に目を配りながら個の思想を担った思想家としてレフ・カルサーヴィンがいるが、カルサーヴィンの思想における人格論の研究を行い、リトアニアで開かれた国際学会"LEV KARSAVIN: THE WAY OF THE RUSSIAN PHILOSOPHER IN LITHUANIA"において口頭発表を行った。カルサーヴィンの思想においては、個々の人格の完成のためにはその瓦解と全体への霧散を経なければならないとされるが、それがキリスト教におけるキリストの死と復活にどのように関わるのか、そのプロセスにおいて個の同一性は担保されるのかという点は未だ十分に明らかになっていない点であり、この点を中世のキリスト教思想、とりわけキリスト論と比較して研究する必要性を認識するに至った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前年度と同様、戦争の影響からロシアに渡航できない状況が続き、ロシアでの資料調査やロシア在住のロシア人研究者との交流ができずに終わった。そのため、当初の研究計画からはやや遅れていると評価せざるを得ない。一方、ロシアに近いリトアニアに渡航し、国際学会で発表を行うことで、ロシア外のロシア思想史研究者とは研究上の意見交換を活発に行うことができ、来年度以降の研究に繋がるような交流を図ることができたため、「遅れている」ではなく「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究課題の最終年度であるため、研究の成果を発表することに注力したい。具体的には、20世紀初頭のロシアにおいて個をめぐる思想を展開したパーヴェル・フロレンスキイに関する書籍を出版すること、また、【研究実績の概要】欄で記したカルサーヴィンの思想に関して、中世の思想との関連も明らかにしながら論文をまとめることを目指している。当初の研究計画では、来年度もロシアで資料調査を行う予定であったが、渡航計画に戦争がいかなる影響を及ぼすかについては未だわからないところが大きく、資料調査が満足に行えない場合は、上述の研究成果の発表に専念したい。
|