加齢造血変化をもたらす間葉系幹細胞エイジングの分子機構解明
Project/Area Number |
22KJ2948
|
Project/Area Number (Other) |
22J13745 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
反町 優理子 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / p53 / 老化 / 癌化 / 骨髄 / 肉腫 / 単一細胞遺伝子発現解析 / 遺伝子変異解析 |
Outline of Research at the Start |
放射線や抗がん剤などの造血ストレスを負荷したマウスの骨髄において、造血幹細胞を維持する骨髄微小環境の機能を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(Mesenchymal tem cell; MSC)は骨、脂肪、軟骨などに分化能を持つ組織幹細胞である。個体の加齢に伴って、MSCの幹細胞機能は低下し、MSC由来の腫瘍・肉腫の発症率が上昇することが知られているが、その分子機序は不明であった。そこで、老化のマスターレギュレーターであるp53遺伝子をMSC特異的に欠損させたマウスを用いて、MSCの老化・癌化におけるp53の機能を遺伝学的に検討した。 まず、p53欠損MSCの幹細胞機能を調べたところ、p53欠損は細胞周期と増殖能の亢進、代謝の活性化、多分化能の喪失とMSC特異的な遺伝子発現の低下を誘導することが確認された。MSC特異的p53欠損マウスでは肉腫の発症率が有意に上昇することから、p53がMSCの幹細胞機能を制御することで癌化を抑制することが示唆された。次に、若齢および加齢MSCの単一細胞遺伝子発現解析を行ったところ、加齢によってMSCのp53下流シグナルの発現が低下した。加齢は肉腫発症のリスクファクターの一つであるが、加齢によるp53シグナルの減弱が、腫瘍の発症率を上昇させる原因の一つであることが推測された。 次に、MSC特異的p53欠損マウス由来の肉腫が、ヒト肉腫のモデルとして適切であるかどうか検討するため、①遺伝子発現解析および②遺伝子変異解析を行い、ヒト腫瘍と比較した(ヒト検体のデータはNCBIのデータベースを使用した)。その結果、マウス由来の肉腫とヒトで見られる肉腫の遺伝子発現や遺伝子変異パターンが類似していることが明らかとなり、本マウスがヒト肉腫のモデルとして適切であることが分かった。 最後に、ヒト・マウス両種由来の肉腫を遺伝子発現によって分類し、生存率を解析したところ、遺伝子発現によって生存率が有意に異なることが明らかとなり、予後を予測するマーカーとして遺伝子発現による分類が有用であることを示した。本研究は2023年に論文に報告した(Sorimachi et al., Stem Cell Reports.2023.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた内容は論文として報告することが出来た。今後は内容をさらに発展させ、加齢などの慢性ストレスに限らず、慢性・急性含む様々なストレス下での間葉系幹細胞のストレス応答機構および幹細胞機能の維持機構を調べていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで老化のような慢性ストレス下における間葉系幹細胞のストレス応答機構について解析を行ってきた。今後は、慢性ストレスだけでなく、炎症や放射線治療、抗がん剤などといった急性ストレス下における間葉系幹細胞や骨髄のストレス応答について解析していく予定である。すでにこれら急性ストレス負荷によって間葉系幹細胞の機能が低下することを確認しており、この分子機構を調べるためのin vitro培養系を用いた定量的スクリーニング系と、in vivoのマウスモデルを用いた機能評価系を立ち上げた。次の1年は自身で立ち上げた、in vitro、in vivo両実験系を用いて、「急性ストレス負荷後に間葉系幹細胞の機能を維持する分子機構の解明」をテーマに取り組む。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)