Project/Area Number |
22KJ3008
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Project/Area Number (Other) |
21J00100 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
黒瀬 にな 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 日本中世法 / 本所裁判 / 訴訟手続 / 規範認識 / 鎌倉幕府 / 文書機能論 / 法制史・法史学 / 日本中世史 / 権門裁判 / 公武関係 / 訴訟管轄 / 御家人 / 本所法 |
Outline of Research at the Start |
日本の平安時代から南北朝時代においては、所領支配や職階制に基づく人的・制度的関係をたどって出訴するのが一般的であり、このことは研究上「本所法廷主義」と命名され、裁判管轄原則と捉えられている。その一方で、当時の訴訟では縁故関係が多大な役割を果たしており、正式な帰属関係と非正式な縁故関係の両者の関連性が問題となる。本研究はこの点に着眼し、出訴手続の正当なあり方をめぐる言説・現象の検討を通して、訴訟手続に係る正当性の日本中世固有のあり方を明らかにするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)最終年度(2023)は、前年度より引き続き、鎌倉時代中期(文永年間)における近江国伊香立荘対葛川の本所裁判事案を分析した。まず、前年度におこなった中間的研究報告の成果を踏まえ、必要な史料・文献の追加収集・調査を実施し、テクストの校訂および内容検討を進めた。それら資史料を基に、文書機能論の観点を深めるという角度から訴訟文書の事後的性格づけに着眼した研究報告を組み立て、口頭発表した。これは2024年度中に論説として公表する予定である。 また、室町時代の強盗事件を扱った論考に対する論評を執筆した。紛争対処にあたり当事者が上位者との関係をいかなる条件下でいかに活用していたかという本研究課題の問題関心にとって、時期的視程を伸ばした考察としての意義を有する。同様の狙いから、平安時代における訴訟管轄の流動化(提訴先選択問題の発生・顕在化)といわゆる私的結合問題との連関についても、文献調査を実施した。 なお、研究成果の普及活動として、2021(令和3)年度の研究成果発表として計上した、『御成敗式目ハンドブック』(日本史史料研究会監修、神野潔・佐藤雄基編、吉川弘文館、2024年3月10日刊)における研究代表者担当章の内容につき、受入研究機関の学部対象講義におけるゲスト講師という形で講演する機会を得た。
(2)研究期間全体を通じて、公式・非公式の人的紐帯の側面からの分析は主たる成果に結実しなかったものの、手続規範認識に根ざした口実調達の問題に関する研究枠組みを見直し、深化させることができた。社会関係の錯綜と訴訟管轄の問題は武家裁判の側面から整理をおこなった。これらと上述(1)の本所裁判分析により、中世訴訟における手続的規範性の探究という本課題の目的を一定程度達成したと考える。
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