新規アッセイ系による小胞体膜上糖鎖のフリップフロップ現象の分子機構解明
Project/Area Number |
22KJ3010
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Project/Area Number (Other) |
21J01598 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38040:Bioorganic chemistry-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐野 加苗 立命館大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | アスパラギン結合型糖鎖 / ドリコールピロリン酸結合型糖鎖 / フリップフロップ / 糖リン脂質 / 糖ヌクレオチド |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、小胞体膜上糖鎖のフリップフロップ現象の分子機構を明らかにすることである。真核生物のアスパラギン結合型糖鎖の生合成過程において、小胞体膜上の糖鎖が細胞質側から内腔側へ反転(フリップフロップ)することが知られている。このフリップフロップは、親水性の糖鎖分子が疎水性の脂質膜をくぐり抜けるダイナミックな現象として興味深いが、実際の分子機構は明らかになっていない。そこで本研究では、合成プローブと転移酵素を利用して小胞体膜環境を人工的に構築し、膜上の糖鎖分子の挙動を高精度に解析することで、フリップフロップ機構を分子レベルで解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
真核生物アスパラギン結合型糖鎖の生合成過程において、小胞体膜に挿入されたドリコールピロリン酸結合型糖鎖(Dolihol pyrophosphate Linked Oligosaccharide; DLO)は細胞質側から内腔側へフリップフロップすることが知られている。本研究はフリップフロップの分子機構を解明すべく、膜上のDLOの挙動を追跡する小胞体膜反応場の構築を目指した。その構築手法として、リポソームのリン脂質を、酵素反応によりDLOに変換することを計画した。具体的には、(1)標識化したUDP-GlcNAc誘導体を供与体として、N-acetylglucosamine-phosphotransferase(DPAGT1)の作用でGlcNAcモノリン酸をリン脂質に対して導入し、(2)導入されたGlcNAc残基を受容体とし、endo-β-N-acetylglucosaminidase(ENGase)を用いてオキサゾリン化糖鎖を導入することとした。 今年度はこれら2種類の反応系に必要な基質プローブの化学合成を行い、非リポソーム環境にて酵素反応を実施した。(1)の実験では、ドリコールモノリン酸類縁体であるシトロネロールリン酸に対し、クリックケミストリーによる標識が可能なアルキニル基を導入したUDP-N-アセチルグルコサミンプローブ(UDP-GlcNAlk)を基質として組換えDPAGT1を作用させた。その結果、DPAGT1がこの基質に対して活性を示し、非天然型構造を許容することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は合成プローブを基質としてDPAGT1とENGaseの2つの酵素反応を検討した。極性や溶解性から調製の難しい糖リン脂質プローブの合成を達成でき、タンパク質の発現条件、酵素反応の分析条件も目処がついたことから上記の評価に至った。 (1)DPAGT1の転移反応を実施するにあたり、昨年度合成したUDP-GlcNAlk以外の糖ヌクレオチドアナログとして、クリックケミストリーにおいてアルキニル基の対に相当するアジド基を導入したUDP-GlcNAzの合成を完了した。組換えDPAGT1の発現については、哺乳類や昆虫細胞を用いた発現系の検討、可溶化条件の最適化を種々行った。非天然型糖ヌクレオチドを基質としたDPAGT1の転移反応を非リポソーム環境にて実施し、LC-MS分析より活性を検出した。続く(2)ENGaseの糖転移反応については、DPAGT1の転移生成物に相当するGlcNAcピロリン酸ドリコール類縁体を化学合成により数十ミリグラムスケールで大量供給し、反応条件のスクリーニングに展開する体制を整えた。現在、組換えENGaseの発現実験を進めているのと同時に、シアリル化糖鎖のオキサゾリン体をドナー基質とした糖転移反応を非リポソーム環境にて検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
均一構造のDLOを挿入した小胞体リポソーム環境を構築し、フリップフロップ検出系を完成させる。(1)の方針として、組換えDPAGT1を大量発現する条件を見出し、リポソームのリン脂質成分に対する転移反応の効率化を図る。続く(2)の方針として、糖転移活性の高いENGase部分変異体の探索や反応条件の精査を行い、反応条件を非リポソームおよびリポソーム環境別に最適化する。また、糖残基数の異なるオキサゾリン化糖鎖を化学合成や天然試料から用意し、DLOライブラリーを構築する。膜反応場のDLOに対して光架橋標識分子を導入し、小胞体画分からDLOと相互作用するタンパク質を取得後、膜反応場を用いてフリップフロップ活性を測定し、フリッパーゼを探索する。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)