疎性モデリングの宇宙再電離期21cm線観測データ解析への応用
Project/Area Number |
22KJ3092
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Project/Area Number (Other) |
21J00416 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
吉浦 伸太郎 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 宇宙再電離 / 21cm線 / 電波干渉計 / 電波天文学 / 宇宙論 / 銀河進化 / 宇宙物理学 |
Outline of Research at the Start |
宇宙に最初の星が誕生してから現在に至るまで、宇宙を満たしている水素のガスは星や銀河と共に変化してきました。この研究の究極の目標は、その水素から放射される微弱な電磁波を電波望遠鏡で観測することで、逆に宇宙で最初の星や銀河の姿を理解しようとするものです。ただし微弱な信号を検出するには非常に明るい邪魔な電波源などに対処する必要があります。そこで、機械学習など統計的な方法を応用して観測データを処理する方法を開発します。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は宇宙再電離期以前の中性水素原子由来の21cm線観測データの解析を通して、宇宙初期の銀河進化や電離史に制限を与えることである。具体的には、さまざまな統計量を応用して、21cm線観測最大の障害である前景放射の除去を行うことで、21cm線に対する観測的制限を得る。(1) インドの電波望遠鏡であるuGMRTによる低周波電波データの解析を行なった。同時に、相互相関に関する解析ソフトウェアの開発や、電波イメージからパワースペクトルを推定するプログラムの開発を行い、さらに実験のために観測シミュレーションを作成し、実験を行なった。その中で、21cm線観測のもう一つの障害である人工電波の影響が非常に強力であり、丁寧なデータの選別が必要であることがわかった。また、人工電波で汚染されたデータを削除するというプロセスでデータが一部しか利用できないことで、21cm線パワースペクトルの解析や前景放射除去に著しい悪影響があることが判明した。(2) 低周波電波望遠鏡であるEDGESの21cm線の信号観測データの解析を実施した。21cm線モデルと観測に伴う系統誤差、前景放射モデル化のための多項式などさまざまなモデルを組み合わせ、ベイズ統計に基づくスペクトルの解析を行なった。解析の結果が、前景放射モデル観測の誤差や周波数範囲に大きく依存することがわかった。その他、引き続きオーストラリアの電波望遠鏡であるMWA(Murchison Widefield Array)のデータについてさまざまな周波数データの解析を行なっている。最新のデータ較正ソフトウェアからイメージングに至るまでのデータ解析パイプラインを確立した。解析や前景放射除去には引き続き機械学習による方法を実験中であり、今後大規模なデータを解析する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・当初予定していたデータ較正ソフトウェアの更新版ソフトウェアを実装することで、データの較正が効率よく実施できることがわかった。そこで、そのソフトウェアを実行できる環境を整備した。さらに、50TB程度のディスクを確保し、MWAのデータに関して約20時間分のデータ解析を実施することができた。上限値の更新には至っていないものの、解析のパイプラインを整えることができた。また、20時間規模のデータを解析する中で、銀河系中心からのデータ解析への影響が予想よりも重要であることがわかってきたので、系外電波源だけではなく銀河系の電波モデルの作成も考慮する必要がありそうだということがわかったのは収穫である。・所期の予定通り主成分解析による前景放射除去を低周波の21cm線観測データの解析に応用することができた。・予定より早くEDGESによる21cm線検出の検証の一部を実施することができた。・別途作成した観測シミュレーションと組み合わせて、機械学習を応用した前景放射のモデル化やイメージングの方法に関してもプログラムの開発や最適化が進行中である。これらの状況から総合的に判断して、複数の計画が同時に進行しており、現在のところ計画はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
・引き続き再電離期以前の中性水素21cm線電波観測データの解析を進めていく。MWAやuGMRTによるさまざまな観測データの解析など、前年度で進行している計画を進めていく。・当初の計画通り電波望遠鏡EDGESの報告した吸収線についての検証をMWAのデータ等を用いて行なっていく。・当初の計画通り開発したシミュレーションをSKAに最適化する。その上で主成分分析やスパースモデリングなどの機械学習を用いた前景放射のモデル化や前景放射除去の方法について作成したコードを21cm線と前景放射を取り入れたSKAのシミュレーションで実験していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)