Project/Area Number |
22KJ3099
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Project/Area Number (Other) |
22J01438 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
高橋 翔太 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 表面分子 / 非線形分光法 / プラズモニクス / 極微分光法 / レーザー分光法 / 強結合 / ポラリトン状態 |
Outline of Research at the Start |
物質と輻射場のハイブリッド状態であるポラリトン状態を形成・制御する試みが近年盛んに行われているが、その対象は溶液や固体といったバルク物質に限られてきた。これに対し本研究では、高精度な表面分析手法を駆使し、金属表面に吸着した分子系を対象とした新たなポラリトン状態の創成に挑戦する。さらに、このような新奇なポラリトン状態の形成が表面分子のダイナミクスに与える影響も解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
物質と輻射場のハイブリッド状態であるポラリトン状態を形成・制御する試みが近年盛んに行われているが,その対象は溶液や固体といったバルク物質に限られてきた。本研究では,金属表面に吸着した分子系における極微スケールの新たなポラリトン状態の創成に挑戦しており,極微ポラリトン状態の検出・評価に必須な光の回折限界(光の限界集光サイズ)を超えるナノスケール非線形分光システムの構築・高度化に取り組んできた。研究初年度には,走査トンネル顕微鏡(STM)の探針-基板間ナノギャップに波長可変な超短パルスレーザーを照射し,ナノギャップから発生する探針増強第二高調波(SHG)を観測することで,可視光から近赤外・中赤外光にわたる非常に広帯域な光を同時に増強可能という,STM探針特有の非常に優れた光増強特性を見出した。本年度はこの研究成果を国際誌に発表するとともに,対象とする光学過程をSHGに加えて和周波発生(SFG)にも拡張した。具体的には,分子振動に共鳴する中赤外とそれよりも短波長の近赤外の2色のパルスレーザーをSTMの探針-基板間ナノギャップに照射し,可視光領域にアップコンバートされた探針増強SFG光を検出することを試みた。前年度の探針増強SHG研究で見出した超広帯域な光増強特性を活かし,励起光である中赤外光と近赤外光,そして出力光である可視SFG光という波長の大きく離れた3種類の光をすべて効率よく増強させることで,回折限界よりも狭い領域に存在する少数分子からのSFG信号を有効に検出することに成功した。さらに,このようなSTMナノギャップにおける非線形光学過程はSTMの印加電圧に応じて著しく変調されることも判明しており,探針増強非線形分光測定の洗練化に向けた重要な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来の遠隔場を用いたSFG分光研究では,光の回折限界の制約により,マイクロメートルオーダーの集光スポット内部に存在する10^8個以上もの膨大な分子のアンサンブル平均情報しか得られず,極微ポラリトン状態の検出や評価は困難であった。これに対し本研究では,STMとSFGを組み合わせた探針増強SFG分光システムを確立することで,光の回折限界を大きく下回る非常に小さなドメインにおける非線形分光信号を有効に検出できるようになり,少数分子系特有の光-物質相互作用を調べることが可能になった。さらに,このような非線形光学過程がSTMの印加電圧に応じて飛躍的に増大するというこれまでにない電気光学的現象を世界に先駆けて明らかにすることもでき,当初計画していた以上の研究展開を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で得られた成果を積極的に国際誌に投稿する。加えて,極微ポラリトン状態の創成と制御に向けた研究も行う。光と分子振動の強結合状態を達成するには,分子振動に共鳴する中赤外光を探針先端の極微領域に長時間閉じ込めることが必須である。これを達成するための特殊な探針形状を高精度な数値計算をもとに設計するとともに,外部機関と連携しながら実際の探針成型も行う。このような強結合形成に特化した金属ナノ探針と,これまで構築してきた探針増強非線形分光システムを駆使し,極微ポラリトン状態の創成・観測を行う。
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