未知腸内ファージの発掘と新たな腸内細菌-ファージ間相互作用の解明
Project/Area Number |
22KJ3178
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Project/Area Number (Other) |
21J01569 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森永 花菜 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ファージ / 腸内細菌 / 相互作用 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ヒトの健康や疾患に関わる重要な難培養性腸内細菌の培養化を通じて、それらに感染する未知ファージを発見し、そのゲノム・形態・生理機能を詳らかにすると共に、宿主腸内細菌とファージの未知の相互作用の解明を目指す。本研究によって、未知のファージが獲得でき、その遺伝学的・生物学的特徴や宿主との相互作用が明らかになれば、生物学・医学細菌学の基盤的知見の拡充と深化を促すだけでなく、腸内フローラの特異的な制御(ファージセラピー)によるヒトの健康維持・疾患予防に繋がる研究基盤の構築が見込まれる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトの健康や疾患に関わる重要な難培養性腸内細菌の培養化を通じて、それらに感染する未知ファージを発見し、そのゲノム・形態・生理機能を詳らかにすると共に、宿主腸内細菌とファージの未知の相互作用を解明することを目指している。本研究によって、未知のファージが獲得でき、その遺伝学的・生物学的特徴や宿主との相互作用が明らかになれば、生物学・医学細菌学の基盤的知見の拡充と深化を促すだけでなく、腸内フローラの特異的な制御(ファージセラピー)によるヒトの健康維持・疾患予防に繋がる研究基盤の構築が見込まれる。今年度は、昨年度までに分離した、腸内細菌に感染する新奇ファージの詳細な遺伝学的・生物学的特徴や宿主細菌との相互作用を明らかにすることを目的とした。遺伝学的解析より、分離したファージは、メタゲノム解析よりヒト腸内に豊富に存在することが明らかにされているものの、分離例は世界でも極めて少ないことが報告されているファージの系統に属することが明らかになった。本ファージが属する系統のファージがどのように宿主細菌へ感染するのか、その感染様式は未解明な部分が多い。そこで、今年度は、嫌気性細菌のライブセルイメージング法や、qPCR法によるファージの定量技術を組み合わせることで、新奇ファージが、宿主細菌に対して、どのように感染するのか、また感染後、どのように増幅していくのか等、新奇ファージの感染様式を捉えることに成功した。これらのことより、ヒト腸内に豊富に存在する系統のファージが、腸内において宿主細菌とどのような相互作用をするのかの実態に一歩迫った結果を得ることができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度マウス腸内より単離に成功した、新奇溶菌ファージを用いて、新奇ファージの遺伝情報の詳細な解析及び新奇ファージの宿主細菌への感染様式を詳細に解析した。遺伝学的解析より、本ファージが属する系統のファージは、ヒト腸内に豊富に存在するものの、分離例が極めて少ないファージであることが明らかとなった。また、本系統のファージの、マウスからの分離は、世界で初めての例と言える。今までに分離されたファージとゲノム情報を比較したところ、分離したファージは新種ファージであると考えられた。既報の研究において、本ファージが属する系統のファージは分離例が少なく、また嫌気性細菌に感染するため、扱いが難しいことより、宿主細菌への感染様式は未解明な部分が多かった。そこで、分離したファージの宿主細菌への感染様式を明らかにするため、まず、本ファージを定量するためのqPCR系を構築した。構築したqPCR法により、宿主細菌種の範囲や、宿主細菌への感染時のファージ増幅率を明らかにすることに成功した。また、本ファージ添加時の宿主細菌の生育を、嫌気条件下で経時的に顕微鏡観察することで、本系統のファージが宿主細菌にどのように感染し、溶菌するのかを詳細に観察することに成功した。 今年度は、2024年1月より研究を中断しているため、実験に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究により、マウス腸内より単離した、腸内細菌に感染する新奇ファージのゲノム解析と詳細な形態観察を行うことで、ファージの新規性を評価し、新奇ファージの分類及び遺伝学的諸性質を明らかにした。また、qPCR法によるファージの定量系及び嫌気条件下で、ファージが宿主細菌に感染する過程を観察するための顕微鏡観察系を構築した。 今後は、これまでに構築したファージの定量、定性系を用いて、新奇ファージが宿主細菌へ感染する機構をさらに詳細に解析する。本ファージの近縁種は、分離例が少ないものの、ヒトや活性汚泥から分離されていることが報告されている。近縁のファージと本ファージの感染様式を精査に比較することで、マウスから分離された本ファージの感染様式の特徴を明らかにして行く。また、分離した新奇ファージのゲノム解析より、本ファージは、ゲノム上に機能未知遺伝子を多数有していることが明らかになった。新奇ファージが有する機能未知遺伝子を異種発現することにより、本ファージが有する機能未知遺伝子が、宿主細菌への感染にどのように寄与するのかを明らかにする予定である。これらのことより、腸内において新奇ファージが腸内でどのような挙動を示し、また腸内で、宿主細菌とどのような相互作用をしているのかの実態に迫る。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)