光触媒による軌道上汚染処理システムの開発

• Project/Area Number: 22KJ3186
• Project/Area Number (Other): 21J01516 (2021-2022)
• Research Category: Grant-in-Aid for JSPS Fellows
• Allocation Type: Multi-year Fund (2023); Single-year Grants (2021-2022)
• Section: 国内
• Review Section: Basic Section 64020:Environmental load reduction and remediation-related
• Research Institution: Shizuoka University (2023); Japan Aerospace EXploration Agency (2021-2022)
• Principal Investigator: 下迫 直樹 静岡大学, 工学部, 助教
• Project Period (FY): 2023-03-08 – 2024-03-31
• Project Status: Completed (Fiscal Year 2023)
• Budget Amount: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000); Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000); Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000); Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
• Keywords: 宇宙機 / コンタミネーション / 光触媒 / アウトガス / 水晶振動子マイクロバランス / 真空 / 二酸化チタン / 水晶振動子

Outline of Research at the Start

宇宙環境において，宇宙機材料から放出されたアウトガスによって，宇宙機の光学測定による測定値が，時間とともに低下することが知られている．我々は宇宙機の汚染物質除去法として「光触媒」に着目した．本研究では，宇宙環境が光触媒活性にどのような影響を与えるか，特に真空環境と温度などに対して定量的に評価する．また，その結果を踏まえて，光触媒を用いた宇宙機用汚染処理システムのプロトタイプを開発し，地上にてその性能評価試験を行う．最後にこれまでのデータをもとに，軌道上での実験案を作成，提案する．

Outline of Annual Research Achievements

最終年度である3年目は，代表者の所属先変更に伴い，実験装置などの移管作業，研究環境の立ち上げ・整備を主な活動として行った．新たな研究施設において前所属先と同等以上の研究環境を構築することができた．

2年目から引き続き，水晶振動子マイクロバランス（QCM）法を用いて，光触媒活性を汚染物質の質量減少から定量的に評価した．QCM上に二酸化チタン粉末を固定し，光触媒分解によるクエン酸の質量変化から，二酸化チタン粉末の大気および真空環境下での光触媒活性を評価した．昨年度の結果の再現性が確認できたため，これらのデータを基に，論文化し，報告した．さらに，3年目では，二酸化チタン以外の光触媒について同様な実験を行った．その結果，真空環境下にて，二酸化チタンの分解限界量を超える光触媒を開発することに成功した．本研究で使用したQCM法は大気・真空環境下において同じ手法で光触媒活性の評価することが可能である．また，大気環境下での光触媒のセルフクリーニング力を「直接」評価することができる．本研究で，開発したQCM法は宇宙応用だけでなく光触媒研究にも貢献できる．．

アウトガス付着後の清浄化を目的とした光触媒の性能評価や開発のほかに，異なるアプローチとして，アウトガス低減材料の開発を進めた．そのひとつとして，竹を原料したセルロースナノファイバー（CNF）の製造条件とアウトガス特性との関係性を調べた．アウトガス特性は標準規格であるASTM E1559に基づき，アウトガスレートを評価した．CNFの純度が高まるにつれて，水以外の有機物のアウトガス放出が検出されなくなることが明らかとなった．これは，CNFがアウトガス低減材料として有望であることだけでなく，この製造プロセスがアウトガス成分の処理に効果的であることも示した．

Research Products

• [Journal Article] Application of Photocatalysts for the Decomposition of Molecular Contamination in Spacecraft (2024)
  • Author(s): 下迫 直樹, 坂間 弘, 堂谷 忠靖
  • Journal Title: Aeronautical and Space Sciences Japan Volume: 72 Issue: 4 Pages: 115-120
  • DOI: 10.14822/kjsass.72.4_115
  • ISSN: 0021-4663, 2424-1369
  • Year and Date: 2024-04-05
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Estimation of photocatalytic activity of TiO2 in vacuum using a quartz crystal microbalance technique for space applications (2023)
  • Author(s): Shimosako Naoki, Sakama Hiroshi, Dotani Tadayasu
  • Journal Title: Acta Astronautica Volume: 213 Pages: 29-34
  • DOI: 10.1016/j.actaastro.2023.08.039
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Long-term change of transmission spectra of quartz glass contaminated with oleamide in vacuum (2023)
  • Author(s): Shimosako Naoki、Sakama Hiroshi、Dotani Tadayasu
  • Journal Title: Acta Astronautica Volume: 202 Pages: 617-624
  • DOI: 10.1016/j.actaastro.2022.11.016
  • Peer Reviewed
• [Presentation] 竹を原料とするセルロースナノファイバーの作製と宇宙利用を指向した物性検討 (2023)
  • Author(s): 増田由紀乃, 甲斐可奈子, 松岡美紀, 下迫直樹, 宮崎英治, 守山雅也, 衣本太郎
  • Organizer: 第60回化学関連支部合同九州大会
• [Presentation] 大気・真空中における水晶振動子法を利用した光触媒活性の評価 (2023)
  • Author(s): 下迫直樹, 坂間弘, 堂谷忠靖
  • Organizer: 第84回応用物理学会秋季学術講演会
• [Presentation] 宇宙機の汚染物質除去を目的としたQCMによる光触媒活性の評価 (2023)
  • Author(s): 下迫直樹, 坂間弘, 堂谷忠靖
  • Organizer: 第67回宇宙科学技術連合講演会
• [Presentation] 大分大学製竹由来セルロースナノファイバーの特性と宇宙利用指向検討（2） (2023)
  • Author(s): 衣本太郎, 守山雅也, 増田由紀乃, 下迫直樹, 宮崎英治
  • Organizer: 第67回宇宙科学技術連合講演会
• [Presentation] 竹を原料とするセルロースナノファイバーの宇宙利用を指向した物性研究 (2023)
  • Author(s): 増田由紀乃, 甲斐可奈子, 松岡美紀, 下迫直樹, 宮崎英治, 守山雅也, 衣本太郎
  • Organizer: 第13回CSJ化学フェスタ2023
• [Presentation] オレアミドに汚染された光学ガラスの透過率変化 (2022)
  • Author(s): 下迫直樹, 坂間弘, 堂谷忠靖
  • Organizer: 第66回宇宙科学技術連合講演会
• [Presentation] 大分大学製竹由来セルロースナノファイバーの特性と宇宙利用指向検討 (2022)
  • Author(s): 衣本太郎, 守山雅也, 下迫直樹, 宮崎英治
  • Organizer: 第66回宇宙科学技術連合講演会
• [Presentation] Contamination Control of Spacecrafts using Photocatalysts (2021)
  • Author(s): N. Shimosako
  • Organizer: Mirai2.0 Workshop in Materials Science
  • Int'l Joint Research / Invited
• [Presentation] 宇宙機応用を目的とした真空環境下におけるZrO2薄膜の光触媒活性評価 (2021)
  • Author(s): 下迫直樹, Josefine Knutsson, 坂間弘
  • Organizer: 第65回宇宙科学技術連合講演会
• [Remarks] 静岡大学工学部下迫研究室ホームページ
  • URL: https://wwp.shizuoka.ac.jp/shimosakolab/