Project/Area Number |
22KJ3190
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Project/Area Number (Other) |
22J01617 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Kurume National College of Technology (2023) Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences (2022) |
Principal Investigator |
谷本 勝一 久留米工業高等専門学校, 生物応用化学科, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | タンパク質凝集 / 神経変性疾患 / ハンチンチン / ポリグルタミン / アミロイド / 凝集阻害 / 分子動力学シミュレーション / 拡張アンサンブル法 |
Outline of Research at the Start |
ハンチントン病はポリグルタミン鎖(polyQ)をもつ変異ハンチンチン(mHTT)が凝集し、細胞内に蓄積することで発症する。polyQのN末端側に隣接するドメイン(NT17)が凝集を促進すること、アルギニンがmHTTの凝集を阻害すること、及びアルギニンにエステル基を導入することで凝集阻害効果が高まることが見出されているが、NT17によるmHTTの凝集促進メカニズム、アルギニンによる凝集阻害メカニズム、及びエステル基の導入により凝集阻害効果が高まる要因は分かっていない。 本研究では、mHTTの詳細な凝集機構及びアルギニンとそのエステル誘導体によるmHTTの凝集阻害機構を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
異常伸長ポリグルタミン(polyQ)鎖をもつ変異ハンチンチン(mHTT)は神経細胞内に凝集し、ハンチントン病を引き起こすことが知られている。本研究では、mHTTの凝集メカニズム、mHTTの凝集をアルギニンとそのエステル誘導体が阻害するメカニズム、及びアミノ酸の中でアルギニンだけがmHTTに対する凝集阻害効果をもつ要因を、理論的に解明することを目的としている。2023年度は2022年度に引き続いて、アルギニンによるmHTTの凝集阻害メカニズムを解析する上で基礎となる、polyQ鎖に対するアルギニンの凝集阻害メカニズムの解明に向けたシミュレーション研究に取り組んだ。 2022年度までで、アルギニンの方がリジンよりも多くpolyQ鎖と接触すること、及びアルギニンの方がリジンよりもpolyQ鎖の主鎖と水素結合を多く形成することを明らかにした。2023年度ではそれらに加えて、polyQ鎖の分子内βブリッジ構造形成に対する自由エネルギープロファイルを解析してpolyQ鎖の安定性を調査した。その結果、polyQ鎖のみを含む水溶液系及びリジンを含む水溶液系と比較して、アルギニンを含む水溶液系では長い分子内βブリッジ構造の形成が不安定になることを明らかにした。さらに、アルギニンはリジンよりも大きな分子クラスターをpolyQ鎖の周囲に多く形成することが分かった。この結果はアルギニンの分子クラスターの形成がpolyQ鎖の凝集に対する阻害効果において重要な役割を果たしていることを示唆している。 2023年度はアルギニンまたはリジンを、それぞれ100mM含む水溶液系に対する結果をまとめた論文を、Journal of Computer Chemistry, Japan誌にて報告した。また、アルギニン及びリジンの様々な濃度におけるpolyQ鎖の挙動を比較した結果を報告した論文は現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度もアルギニンによるmHTTの凝集阻害メカニズムを解析する上で基礎となる、polyQ鎖に対するアルギニンの凝集阻害の分子論的メカニズムについて研究を行い、2022年度からさらに進展した。2023年度得られた研究成果により、ハンチントン病原因タンパク質の凝集に限らず、他の神経変性疾患の原因となるタンパク質の凝集に対してもアルギニンが阻害する分子論的メカニズムの理解のための知見が得られたと考えている。また、得られた研究成果について二つの学術雑誌に投稿でき、そのうち一つはJournal of Computer Chemistry, Japan誌に掲載された。以上のことから、進捗状況を「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
mHTTのオリゴマー形成メカニズム、及びアルギニンがmHTTのオリゴマー形成を阻害する分子論的メカニズムの解明のためのシミュレーションを実行する。オリゴマーの最も簡単なモデルとしてmHTTのダイマーを対象とし、mHTTのダイマーのみを含む水溶液系、mHTTのダイマーとアルギニンを含む水溶液系、及びmHTTのダイマーとリジンを含む水溶液系に対する分子動力学シミュレーションを実行する。比較のためにpolyQ鎖のダイマーのみを含む水溶液系、及びpolyQ鎖のダイマーとアルギニンもしくはリジンを含む水溶液系についても同様のシミュレーションを実行する。以上のシミュレーションで得られた結果をmHTTを含む水溶液系のものとpolyQ鎖の水溶液系のものとを比較して、mHTTの凝集に対するアルギニンの阻害効果のメカニズム、及びmHTTの凝集メカニズムを明らかにする。
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