Project/Area Number |
22KJ3197
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Project/Area Number (Other) |
22J00714 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 万純 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門超先鋭研究開発プログラム, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 海洋微生物 / 光エネルギー / 光微生物生態 |
Outline of Research at the Start |
海洋生態系は、有光層に優占する光合成微生物が太陽光を利用し、有機物を生産することで支えられている。一方で、有光層以深の深海は、暗闇に包まれ、光を利用する生物は皆無と考えられてきた。しかし実際には、外洋では太陽光のうち短波長の青色光が水深1,000 m程の中深層までわずかながら届くことや、約9割の深海生物が発光することを考えると、深海は想像以上に光に溢れた世界であると言えるが、深海に棲む微生物は光を利用しているのだろうか? 本研究では、培養株を用いた遺伝子解析や分光解析を通して、海洋微生物が持つ光受容体の多様性と特性を明らかにし、海洋全体、特に深海に棲む微生物の光利用機構の解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、培養株を用いた遺伝子解析や分光解析を通して、海洋微生物がもつ光受容体の多様性と特性を明らかにし、海洋全体、特に深海に棲む微生物の光利用機構の解明を目的としている。令和5年度の実施内容は以下のとおりである。 (1)深海由来微生物の分離 令和6年2月に行われた学術研究船「みらい」による研究航海(MR24-01C)に参加し、西部北太平洋および南鳥島沖において、海水の採取、および海水を海洋細菌用寒天培地に塗布することで微生物の分離培養を行なった。コロニーが生え次第、色素を生産している可能性が高い色付きコロニーを選抜し、種同定を進める予定である。海水採取時には、これまでの研究航海で使用されていたものよりも4桁程度精度の高い光量子センサーを用いて、海水中に届く光の強さを測定した。また、海水中に生息する微生物種を網羅的に同定するためのメタゲノム解析用試料も採取しており、これらの観測・解析結果を統合することで、これまで「暗黒環境」と考えられていた有光層以深における光と微生物の関係、および深海における微生物の光利用の解明の糸口となることが期待される。 (2)海洋微生物の新規光受容体候補遺伝子の探索 これまでに分離した海洋細菌およびデータベース上に登録されている海洋細菌のゲノム中の遺伝子を探索した結果、フラボバクテリウム科の複数株のゲノムから、これまでシアノバクテリアのみが持つとされている光受容体(シアノバクテリオクロム)に類似の遺伝子を発見した。フラボバクテリウム科は海洋表層に広く生息し、カロテノイド色素を生産する細菌群であることから、本遺伝子が光受容体として働くのであれば、海洋細菌の新たな光利用機構の発見となる。現在、異種発現系にて本遺伝子の機能解析を行う準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海洋表層に広く生息し、カロテノイド色素を生産する細菌群であるフラボバクテリウム科の複数株のゲノムから、これまでシアノバクテリアのみが持つとされている光受容体(シアノバクテリオクロム)に類似の遺伝子を見出しており、本遺伝子が光受容体として働くのであれば、海洋細菌の新たな光利用機構の発見となる。大腸菌を用いた異種発現系による光受容体の特性解析についても、共同研究体制と材料の準備が完了しており、次年度に本格的な解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、主に以下の課題に取り組む予定である。 (1)海洋微生物の新規光受容体候補遺伝子の解析:R5年度に見出した、フラボバクテリウム科が持つシアノバクテリア特有な光受容体・シアノバクテリオクロム様遺伝子について、大腸菌を用いた異種発現系を用いて、次の2通りの方法で機能の解明を目指す。(i)色素発現プラスミドを導入した大腸菌に本遺伝子を発現させ、His-tagを用いてタンパク質を精製する。(ii)色素発現系を有さない大腸菌に本遺伝子を発現させると同時に、取得済みのフラボバクテリアの培養株から抽出した色素を加える。発現したタンパク質は、前述の方法と同様にHis-tagを用いて精製する。(i)(ii)で得られたタンパク質について、吸収波長を測定することで光受容体として機能するかを明らかにする。本研究は、東京都立大学の成川礼准教授との研究体制を整えている。 (2)MR24-01C航海で取得したサンプルの解析:当該航海で取得した培養株・メタゲノムサンプル・光強度データについて、解析と議論を進める。特に、これまでよりも高精度に測定できた光強度データを元に、光強度の変化によって、微生物の群衆構造や光受容体様遺伝子の数・頻度が変化するかどうかをメタゲノム解析によって調べる。また、分離した株の種同定を進め、そのゲノムからも光受容体様遺伝子を探索する。
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