Project/Area Number |
22KK0012
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
林田 秀樹 同志社大学, 人文科学研究所, 教授 (70268118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祖田 亮次 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (30325138)
渡辺 一生 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (30533012)
佐久間 香子 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (50759321)
上原 健太郎 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (90829417)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥20,020,000 (Direct Cost: ¥15,400,000、Indirect Cost: ¥4,620,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | ボルネオ / 西カリマンタン / サラワク / 小農 / 土地利用 / 空撮 / 聞取り |
Outline of Research at the Start |
本研究は、インドネシア西カリマンタン州及びマレーシア・サラワク州において、小農による土地利用の変化について現地研究者とともに調査し、その変化の要因に関する比較研究を行うことである。そのうえで、両州で今後望まれる多様で持続可能な土地利用のあり方とそれを実現するための具体的施策について検討し、学術論文にまとめて現地社会にその成果を還元することが、本研究の最終的な目標である。 本研究では、両州の小農たちの土地利用実態をドローンによる空撮を駆使して調査し、小農や関係者への聞取りを通じてその変化の要因に迫り、アブラヤシのみに依存しない土地利用の例を収集・分析し、普遍化可能なモデルとして提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2023年度末で1年半の研究期間を経過した。この間の主な調査・研究実績は、以下のように大きく3つにカテゴライズされる。 第1は、研究代表者・分担者が歩調を合わせて協同調査を実施してきたことである。2023年8月末には、本研究の調査地の1つであるインドネシア西カリマンタン州で、林田、渡辺、上原の3名並びにインドネシア側海外共同研究者のエルディ・アビディンが、それに引続いて同年9月初めにはもう一方の調査地であるマレーシア・サラワク州において、林田、祖田、渡辺、佐久間の4名とマレーシア側海外共同研究者のタルミジ・マスロンが、協同で調査を実施した。それぞれの調査は、渡辺による空撮と他のメンバーによる聞取り調査の結果を突き合わせながら、海外共同研究者も交えて研究課題に関連した共通の問題認識を形成する貴重な契機となった。 第2は、各自の調査結果を、外部メンバーを成員として含む本研究のプラットフォームとしての研究会(同志社大学人文科学研究所第21期部門研究会第8研究)のセミナーで報告し合い、本研究メンバー以外の参加者からリビューを受けたことである。2023年度には、5名全員がこの研究会で研究報告を行い、プロジェクトの課題を客観視し相対化する絶好の機会となった。また、この第8研究の第4回研究会は同志社大学人文科学研究所第107回公開講演会を兼ねて開催され、本研究はその共催者となることで研究の経過・成果の一般への還元も行っている。 第3は、別項に挙げた通り、雑誌論文や著書の公刊、並びに口頭発表の形態で、成果を積み上げてきていることである。ただ、現時点においては、代表者・分担者がそれぞれ個別に成果を公表している状態であり、成果のまとめへのさらなる努力が必要であるが、すでにエルディ・アビディンと林田、渡辺の間では、どのように国際共著論文を作成・公表していくかについて協議を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の研究の進捗状況を以上のように判断する第1の理由は、本研究の申請を行う段階での調査計画がほぼ予定通りに遂行できていることである。研究実績の概要にも記した通り、日本側複数メンバーに加え海外共同研究者も参加するかたちで、代表者・分担者による現地協同調査を実施できている。さらに、インドネシア側の調査地である西カリマンタン州においては、当初予定していた調査地以外にも新たな調査地を設定してきており、申請時の計画よりさらに内容豊富な調査を遂行していける展望がある。 第2に、これも研究実績概要に記したが、この間、代表者及び分担者が自身の調査の経過・結果についてコンスタントに発表できていることが挙げられる。自らの調査で得られた諸情報について整理して考察を加えるとともに、それに関して発表することでセミナーの参加者から有益なフィードバックを得られている。学術誌上での論文の発表は完成形態にある研究成果と評価できるが、それに至るまでの過程も劣らず重要であり、この間のメンバーによる口頭発表は、そういう意味で計画の進展の順調さを示す指標といえる。 第3に、国際共同研究強化(B)という本研究が採択されている科研費の種別の趣旨に沿って、海外共同研究者と密に連携した調査研究を遂行するとともに、若手研究者(佐久間香子、上原健太郎)が核となるような活動を展開できていることである。インドネシア側共同研究者のErdi Abidinには、西カリマンタン州調査の際には必ず代表者・分担者を調査地に案内してくれているし、2023年1月には当方の招きに応じて来日し研究発表を行っている。マレーシア側共同研究者のTarmiji Masronも、2023年9月に来日して代表者が主宰する研究会で研究発表を行っている。また、佐久間、上原とも現在の所属機関における用務の合間を縫って、積極的に現地調査に参加している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策の第1は、2025年度まで、夏季と春季の現地調査を着実に実施し、現地での情報収集とその整理・精査を重ねていくことである。その際、海外共同研究者との連携や若手研究者の佐久間・上原の調査遂行に特に留意し、必要に応じて研究計画の調整を図っていく。 第2の方策は、本研究の申請の際に目標として掲げた「多様化された土地利用モデル」の構築に取掛かることである。これまでは、調査地における小農たちの営農と土地利用の実態についての情報・データ収集に力点を置いて取組んできたが、これからはそれらの情報の解析に力点を移し、「多様な土地利用」が行われている調査地において、どのようにしてそのような土地利用が行われてきたのか、あるいはそれが可能となったかについて検討したうえで一定の仮説を構築し、その仮説を検証していく作業に入っていく。 第3の方策は、その仮説の検証作業を進めるなかで、日本側メンバーと海外共同研究者との間で国際共同論文の作成作業を進めていくことである。現在検討を進めているのは、インドネシア西カリマンタン州での調査に関する論文の作成である。当地での海外共同研究者は、本研究の申請の際に共同研究者としての位置づけを行い、Letter of Intentに署名したエルディ・アビディン氏(インドネシア国立タンジュンプラ大学社会政治科学部・講師)である。現在、調査の度に、あるいは調査と調査の合間の学期中にも、同氏、林田、並びに渡辺の間で共同論文執筆の構想・準備について協議を重ねてきている。このほかにも、マレーシア側共同研究者のタルミジ・マスロン氏と祖田、佐久間との間でどのように共同研究の成果をまとめていくかについて、可能なことから検討・着手していく必要があると考えている。
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