微生物の多様性指数を用いたコンクリート構造物の劣化診断手法の開発
Project/Area Number |
22KK0064
|
Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 23:Architecture, building engineering, and related fields
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
寺本 篤史 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (30735254)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢之介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20821606)
中嶋 麻起子 広島工業大学, 工学部, 講師 (40773221)
|
Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥20,020,000 (Direct Cost: ¥15,400,000、Indirect Cost: ¥4,620,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
|
Keywords | 微生物 / 中性化 / 硫酸塩劣化 / 塩分浸漬 / 多様性指数 / DNA抽出 / コンクリート |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は,世界的に高経年化が進行している既設コンクリート構造物を対象に,コンクリートの劣化を微生物群集の多様性指数によって評価・予測する手法を提案する。本研究チームは,世界的にコンクリート内部の微生物群集の多様性解析の実績をもつMaresca博士と,コンクリート工学および微生物環境を専門とする若手研究者から構成されている。本研究を通してMaresca博士の有する希少な分析・解析ノウハウを若手研究者が修得し国内に還元すること,微生物群集解析の工学的利用法としてどこでも誰でも実施可能なインフラの維持管理システムを提案・発信することを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,コンクリートの劣化を微生物群集の多様性指数によって評価・予測する手法を提案することを目的としており,2022年度にコンクリート供試体を作製し,中性化,塩分浸せき,硫酸塩浸せきの促進劣化を開始した。2023年度は,これらの促進劣化を施した試験体を米国デラウェア大学に送付し,Maresca博士(当時デラウェア大学)が開発したコンクリート内部のDNAの抽出方法を,Maresca博士本人の指導のもと実施した。 米国滞在中には,すべての試験体の分析を終えることができなかったため,帰国後に広島大学の研究代表者の研究室内に,このプロトコルを再現可能な環境を整備し,残りの試験体のDNA抽出を行った。また2024年3月にはMaresca博士を広島大学に招聘し,当研究室内の実験設備および手法が適切であることを確認した。 以上の実施内容で実施した実験で以下の知見が得られた。 (1)促進中性化,塩水浸せき,硫酸塩浸せきの促進劣化を3か月程度行ったところ,コンクリート中のDNA濃度に与える範囲は表層から10mm程度であり,それぞれの劣化に応じて,pH,塩化物イオン濃度,硫酸イオン濃度,ならびに空隙量に分布が生じていた。(2)いずれの促進劣化方法でも,表層部のDMA濃度はコントロ―ル試験体より小さく,コンクリートの促進劣化により微生物の増殖が抑えられていると考えられた。(3)コンクリート中の主な微生物は各促進劣化方法に対して耐性を持つものもいると考えられるが,複数の条件が重なったことにより増殖が抑えられたため,上記の結果が得られたと推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の試験体作製,および2023年度のDNA抽出の実施と,研究計画に従って概ね順調に進展している。試験体によっては抽出したDNAの濃度が極めて小さく,微生物群集構造を取得するためハイスループットシーケンスに供することが困難な試験体があり,2024年度にDNA濃縮方法についての追加の検討を行う必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,塩基配列のデータを用いて,コンクリート表層部から内部にかけての微生物群集構造の分布を微生物の多様性指数で評価し,劣化度との相関関係を確認する予定であった。しかし共同研究者のMaresca博士が2023年12月に勤務先の異動(デラウェア大学→NYカレッジ)があったため,当初予定していた2024年度のデラウェア大学でのハイスループットシーケンスの実施と,統計解析を中止せざるを得なくなった。 この実験の実施と統計解析のための打合せは,日本国内の分析機関への外注,およびオンライン打合せで埋め合わせる予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)