Project/Area Number |
22KK0076
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 37:Biomolecular chemistry and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 実 東北大学, 理学研究科, 教授 (60265931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 謙吾 東北大学, 理学研究科, 学術研究員 (20965339)
加治 拓哉 東北大学, 理学研究科, 助教 (80835520)
高岡 洋輔 東北大学, 理学研究科, 准教授 (80599762)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥20,150,000 (Direct Cost: ¥15,500,000、Indirect Cost: ¥4,650,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | ジャスモン酸 / 始原植物ホルモン / ゼニゴケ / 受容体 / delta4-dn-OPDA |
Outline of Research at the Start |
植物の陸生化に呼応して、植物の防御応答を担う始原ホルモンとその受容体を含むシグナル伝達系が発生し、高等植物のシグナル伝達系へと進化していく過程で植物ホルモン分子とホルモン受容体の共進化(ホルモンの分子構造変化と対応する受容体構造の変化)が起こり、生体システムとしての最適化が進んだ。本研究では、陸上植物の起源とされるゼニゴケの始原植物ホルモン系に着目し、これまで謎であった真の始原植物ホルモンを同定し、そのシグナル伝達機構を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、植物ホルモンシグナル伝達系の進化に関する理解が劇的に進んだ。中でも注目を集めるのが、植物が水生から陸生へ進化した際の進化である。植物の陸生化には、高温や乾燥などの環境ストレスへの適応に加えて、水中には存在しなかった新たな外敵である病原菌や食草昆虫などに対する防御応答の獲得が必須であった。これに呼応して、植物の防御応答を担う始原ホルモンとその受容体を含むシグナル伝達系が発生したと考えられている。しかし、ここで発生した始原ホルモン系は未熟なものであり、これが高等植物のシグナル伝達系へと進化していく過程で植物ホルモン分子とホルモン受容体の共進化(ホルモンの分子構造変化と対応する受容体構造の変化)が起こり、生体システムとしての最適化が進んだ。 本研究では、陸上植物の起源とされるゼニゴケ(コケ植物)の始原植物ホルモン系に着目し、これまで謎であった真の始原植物ホルモンを同定し、そのシグナル伝達機構を解明することを目的とする。申請者は、海外機関に滞在して、海外共同研究者が所有する膨大な遺伝子変異体植物コレクションを活用して、シグナル伝達に基づく真の始原ジャスモン酸類本体の単離を先導すると共に、その合成と生化学的解析を担当する。海外共同研究者は、遺伝子変異体植物を用いて、合成したホルモン本体の遺伝学的機能解析を担当する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既にゼニゴケの始原ホルモン分子の同定を完了し、二報の国際共著論文が受理済み(PNAS)及び査読中である。また、ゼニゴケのホルモンの生合成にはユニークな異性化反応が含まれることを発見し、これがホルモンの分子構造進化の鍵を握るとする仮説を提案した。現在は、この反応を触媒する酵素の探索を行っており、ホルモン分子進化の鍵を握る成果を期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼニゴケにおいて、dn-OPDAに対して副次的に働く新規始原ホルモンΔ4-dn-OPDAを発見した(PNAS.)。当初、Δ4-dn-OPDAの2種の異性体(Δ4-dn-cis/iso-OPDA)はいずれもホルモン分子と考えられていたが、我々は、2つのうちΔ4-dn-iso-OPDAがホルモン本体であり、Δ4-dn-cis-OPDAはその生合成前駆体であることを明らかにした(投稿中)。Δ4-dn-iso-OPDAのみが受容体に強く結合し、Δ4-dn-cis/iso-OPDAのいずれもが植物への投与でホルモン活性を示した。重水素標識体Δ4-dn-cis-OPDA-d5をゼニゴケに投与した後の生体内代謝物をLC-MS/MSで解析したところ、cis体からiso体への異性化反応が速やかに進行した。この結果は、ゼニゴケに異性化反応を触媒する未知の異性化酵素が存在することを示唆した。 この結果を受けて、ゼニゴケの主要な始原ホルモンdn-OPDA類に研究を展開する。重水素標識体dn-cis-OPDA-d5の合成を既に完了しており、上記同様の代謝解析を行う。我々は、ゼニゴケのゲノムにコードされている異性化酵素候補遺伝子を見出した。これらの酵素を異種発現し、dn-cis-OPDAを投与することでiso体への変換が起こるかを確認する。また、候補遺伝子の機能を欠損した遺伝子変異体ゼニゴケを作製し、dn-cis-OPDAからdn-iso-OPDAへの異性化が起こらなくなることを確認する。これらを通じて、異性化酵素を同定する。
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