Project/Area Number |
22KK0202
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
詫摩 佳代 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (70583730)
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Project Period (FY) |
2022 – 2023
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥15,340,000 (Direct Cost: ¥11,800,000、Indirect Cost: ¥3,540,000)
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Keywords | 地域内保健協力 / グローバル保健ガバナンス / アジア / EU |
Outline of Research at the Start |
地政学的な対立の激化に伴い、パンデミック下でグローバルなレベルでの保健協力に代わり、地域内や有志国間協力が進展してきた。アジアでは地域を日韓の独自の取り組みが目立つが、欧州では域内協力に加え、アフリカとの地域間協力、 地域―グローバルといった複数のレベルを連結する動きも進展しつつある。本研究課題では欧州の域内あるいは地域間保健協力、さらにはグローバルと地域など複数のレベルにまたがる協力の諸相を歴史的、実証的に分析する。そしてアジアへの示唆、また重層化する保健ガバナンスにおける官と民の役割分担について示唆を導き出すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナパンデミックをきっかけとして、グローバル保健ガバナンスの限界が明らかとなる中で、地域単位の早期警戒システムや感染症情報共 有システムの構築が進んできた。一方、アジアでは外交的緊張の高まりを受けて、地域内保健協力が断片的にしか進展していない。基課題ではアジアにおける地域内保健協力の特徴を、情勢分析、文献調査、インタビューを通じて検討してきた。その結果、有志の取り組みの出現、調整 機能の不在、政治主導というアジアにおける3つの傾向が明らかとなった。他方、欧州では欧州保健連合が形成され、地域間保健協力、さらにはグローバルと地域など、複数のレベルを連結する取り組みがパン デミック下で形成されてきた。本研究では、その諸相やその背景を歴史的、実証的に分析し、アジアにおける保健協力進展に向けた示唆を導き出し、また重層化する保健ガバナンスにおける、官と民の役割分担について示唆を導き出すことを目指す。2023年3月23日―5月31日までは主に、フランス政府が公開している一次資料や先行研究に依拠して、フランスとグローバル保健ガバナンスの関わりや特徴を明らかにしてきた。19世紀の半ばに国境を越える保健協力の枠組みが欧州諸国を中心に確立されて以降、フランスは常にその中心的な存在であり続けてきた。その背景には、当時、世界各地に有していた植民地の健康を維持するという目的もあり、その過程で、パスツール研究所の支部がアジアなど各地に設置された。戦後は保健外交という形で、日本と同じく、保健分野の支援に力を入れており、その際、研究機関との連携も目立つ。また欧州という地域レベルでも、デジタルヘルスの推進や健康情報の共有といった点で、連携を強化する動きを見せていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3月23日に渡航してから、生活の立ち上げ(滞在許可証の申請、銀行口座開設や電話の契約など)が予想以上に手続きが煩雑で時間がかかり、またキャンパス・コンドルセの図書館が使用許可書を受け取ったのが4月の半ばで、出だしに時間がかかってしまった。2023年5月半ば時点で研究環境はほぼ整っており、今後スピードアップして研究を実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、滞在中に以下3つの作業を行う。 第一に、欧州における域内保健協力の諸相を官と民の役割分担に焦点を当てて検討する。 第二に、複数の協力レベルの連結点としてのWHOハブの役割について検討する。欧州ではグローバルな保健協力と、国や地域レベルといった複数のレベルの協力がうまく組み合わさっている。その際、重要な役割を果たすのがWHOのハブと呼ばれる組織である。WHOリヨンオフィスとWHO アカデミー、ベルリンのWHOハブに焦点を当てて、地域内、地域間、地域―グローバルーローカルといった連携の諸相を、文献調査や関係者へ のインタビューを通じて明らかにする。 第三に、欧州での調査で明らかとなった欧州の地域内保健協力の現状を踏まえ、アジアにおける以上の検討を踏まえ、アジアにおける地域的ネ ットワーク、あるいは地域とグローバル、ローカルといった複数のレベル間の協力を推進する上で、研究所や企業といった民間アクターの役割 、官民の適切な役割分担に関する示唆をあぶり出し、成果としてまとめる作業を行う。帰国後は在外研究中に導き出したアジアの地域内保健協力に関する示唆をアジアにおいて実行するための政治的、構造的な課題を学術的に検討し、政策提言に繋げていく。 この予定の通りに研究を進めていく。
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