Project/Area Number |
22KK0205
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
田 園 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10609895)
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Project Period (FY) |
2023 – 2025
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,080,000 (Direct Cost: ¥11,600,000、Indirect Cost: ¥3,480,000)
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Keywords | コロナショック / 負債 / 流動性 / 支払不能 / デフォルト |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、基課題の研究を次の2つの方向で発展させることである。[1]大規模かつ想定外のショックが生じる可能性を新たに考慮して、企業の諸意思決定(投資、負債の発行/償還、現金保有/配当、流動性欠如時の外部資金調達/デフォルト)のメカニズムを解明し、株式・負債の価値評価方法を提案する。[2]流動性と支払能力の相互作用を明らかにした上で、「流動性欠如によるデフォルト」と「支払不能によるデフォルト」の識別を検討する。さらに、コロナによる連鎖倒産の回避及びコロナ収束後の資源の有効配置について政策的含意を得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、基課題の研究を発展させるような問題設定と初期分析を行なった。基課題に大規模かつ想定外のショックが生じる可能性を新たに考慮すると、企業の現金保有が一瞬でマイナスになる可能性がある。その状況下では、コストのかかる資金再調達を選択するか、それとも清算を選択するかの意思決定は、基課題のように確定的ではなくなり、現金赤字の幅(元々の現金保有状況と下方ジャンプサイズによる)に依存することになる。新たに下方ジャンプリスクを考慮すると、(基課題では現金保有の下方閾値は0に対して)、「流動性欠如によるデフォルト」に対応する負の現金保有の下方閾値が存在し、それより小さければ、企業は清算を選択する。さらに、「支払不能によるデフォルト」に対応する負の現金保有の下方閾値が存在して、それより小さければ、企業はたとえ資金再調達コストが0であっても清算を選択する(もし資金再調達コストが0であれば、企業は必ず清算よりも資金再調達を選択するという基課題の結果と対照的)。言い換えれば、下方ジャンプリスクを考慮することによって、「流動性欠如によるデフォルト」と「支払不能によるデフォルト」を区別できることを明らかにした。関連研究整理を”Illiquidity default or insolvency default”という題目で京都大学数理解析研究所研究集会「ファイナンスの数理解析とその応用」にて発表報告した。また、大規模かつ想定外のショックを考慮した関連研究”Endogenous capital reallocation and sustainable growth with ambiguity of disaster risk”を、京都大学経済研究所主催のWorkshop on Sustainable Financeにて発表報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題全体の問題設定、初期段階の文献サーベイを行い、渡航して直ちに具体的な議論ができるように課題整理したので、概ねに順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
エラスムス大学ロッテルダムにて、Gryglewicz教授と定期的に研究の打ち合わせを行い、モデルの構築及び分析について詳細かつ綿密に議論する。研究会に定期的に参加し、最先端の研究情報を収集しつつ、関連分野の研究者と積極的に意見交換を行い、研究内容や研究手法などを見直す。
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