Project/Area Number |
22KK0222
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鄭 有希 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00468828)
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Project Period (FY) |
2023 – 2025
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,470,000 (Direct Cost: ¥11,900,000、Indirect Cost: ¥3,570,000)
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Keywords | 多国籍企業 / ダイバーシティ / 採用施策 / 企業イメージ / 採用戦略 / 知的人材 |
Outline of Research at the Start |
今日、日本企業の人材獲得競争は国内市場を超え、海外の労働市場にまで及んでいる。とりわけ、高度なIT専門技術・知識をもつ知的人材の獲得をめぐって世界規模での国際人材獲得競争に発展している。そこで本国際共同研究では、高度な知的人材が集まる北米市場を対象とし、日本企業の在米現地法人における知的人材の採用戦略(企業イメージの構築戦略)がいかなるメカニズムで現地求職者の魅力的な企業イメージ形成に繋がり、採用の成功を導くのかに関する理論的・実証的研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)日本国内の人材市場に限られていた研究対象を、米国人材市場に拡大し、在米日系企業の「知的人材」獲得競争に貢献する研究として再構築すること、(2)理論的な枠組みとして、ドメスティック企業の採用戦略をベースにした枠組みから、多国籍企業経営の文脈における要因(国際人材配置方針など)を分析モデルに組み込むこと、(3)研究成果として経営系の海外トップジャーナル掲載を実現可能にする研究組織体制を構築することの3点を発展課題とし、米国UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネージメント(UCLA Anderson School of Management)と共同研究を実施することを主な目的とする。 2024年9月からUCLAでの国際共同研究開始に先立ち、2023年度の主な研究成果は以下の2点である。まず、本国際共同研究の基課題(基盤B・一般)の研究として、日本における人材の多様な採用モードに対応できる新たなモデル構築に向けた理論的・実証的研究を行った。その成果の一部は、東京都立大学南大沢キャンパスにて開催された経営行動科学学会第26回年次大会にて報告し、同学会より大会優秀賞を受賞した。 次に、本国際共同研究の大きな目的の一つである「多国籍企業経営の文脈における要因を分析モデルに組み込む」ための準備研究として、ダイバーシティ研究の第一人者であるRaymond Trau氏(Senior Lecturer in the Department of Management at Macquarie University)を日本に招聘し、「Current Trends in Diversity and Inclusion Research」と題した国際セミナーを開催した。セミナーでは、最新のダイバーシティ研究に基づき、 海外に進出した日系企業の国際的な人材確保策について貴重な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本国際共同研究は、基課題を(1)研究対象、(2)概念、及び(3)成果発信の各側面において格段に発展させ、日系多国籍企業の在米法人における知的人材の採用戦略(企業イメージの構築戦略)がいかなるメカニズムで現地求職者の魅力的な企業イメージ形成に繋がり、採用の成功を導くのかに関する理論的・実証的研究を行うことを目的とする。具体的には、基課題で設定した課題のうち、(1)組織魅力(雇用主としての魅力)に結びつく企業イメージの精密化、及び(2)企業イメージ(企業の採用戦略)と組織魅力(求職者の知覚)との関係における条件要因の検証を海外研究機関(UCLA Anderson School of Management)と共同でプロジェクトを遂行することにより、研究対象、概念、成果発信における基課題の発展を図ることである。 上記の研究目的のもと、2023年度は、基課題で開発した日本の文脈における企業イメージの概念とその測定尺度を、米国の文脈に合わせて修正・発展させることを主な目的とし、そのために以下の研究活動を行った。(1)米国の文化的、制度的、実務的な情報資料として政府機関発行資料、新聞や雑誌記事等の資料を収集し、テキストマイニング手法を用いて分析、(2)米国の求職者への半構造化インタビュー調査で使用する質問項目の作成である。これらの研究活動は概ね進行中であるが、日本国内で収集した米国関連資料は必ずしも十分とは言えず、9月以降の訪米後に政府機関やUCLAのデータベースから企業関連情報を収集し、改めてテキストマイニング分析を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本国際共同研究は、組織行動論、人的資源管理論、多国籍企業論を包含する学際的な視点に基づき、日系多国籍企業の米国における雇用主としての企業イメージ、採用活動、組織魅力の関係を解明するという目的を達成するために、2つの研究プロジェクト(PJ)に分けて実施する。まず、PJ-1では、基課題で開発した日本の文脈における企業イメージの概念とその測定尺度を米国の文脈に合わせて修正・発展させるために、①米国の文化的、制度的、実務的な情報資料のソースとして政府機関発行資料、新聞や雑誌記事等の資料収集、及びテキストマイニング【渡航前・渡航後】、②米国の求職者への半構造化インタビュー調査と定性比較分析の実施により事前調査で使用できる測定項目の作成【渡航後】、③作成した測定尺度の信頼性と妥当性の検証を目的とした複数回の定量調査を実施する【渡航後】。 次に、PJ-2では、在米日系企業の国際人材配置方針に対する求職者の「知覚」と実際に実施されている国際人材配置方針の「実態」を特定化するために、①多国籍企業の国際人事、広報戦略、異文化組織行動に関する文献や実務的な資料の収集とレビュー【渡航前】、②米国の求職者と日系企業の経営者・人事担当者への半構造化インタビュー調査と定性比較分析【渡航後】、③上記の①と②の研究知見に基づき、定量データで検証可能な複数の作業仮説の設定と測定尺度を盛り込んだ質問紙の設計【渡航後】、④米国の求職者を対象に縦断的調査【渡航後】、⑤時系列に蓄積されるデータを用いて随時分析・結果報告を行う【渡航後】。 ※【渡航前】と【渡航後】は、それぞれ、米国UCLAでの国際共同研究が始まる前(2024年4月~8月)と後(2024年9月以降)を指す。
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