Analysis virulence factors of S. Typhi by using an alternative mouse infection model
Project/Area Number |
22KK0276
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
日吉 大貴 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (00585599)
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Project Period (FY) |
2023 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥14,820,000 (Direct Cost: ¥11,400,000、Indirect Cost: ¥3,420,000)
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Keywords | 腸チフス / チフス菌 / パラチフスC菌 / マウス全身感染モデル / サルモネラ / Vi抗原 / T3SS / エフェロサイトーシス |
Outline of Research at the Start |
チフス菌感染(腸チフス)を主とした、チフス性サルモネラ侵襲感染症による本来の高い致命率(30%)は、抗生物質治療の功績により、現在1%以下に抑えられている。しかし2016年の超多剤耐性(XDR)チフス菌の出現によって、有効な治療方法がなければ、抗生物質がない致命率まで今後逆戻りする恐れが出ている。本国際共同研究では、米国カリフォルニア大学デービス校のAndreas J. Baumler博士と共に、in vitroおよびin vivo実験を組み合わせた多角的なアプローチにより、チフス性サルモネラ侵襲感染の発症機構の解析を行い、新規の創薬基盤研究につなげることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
腸チフスは、Salmonella enterica serovar Typhi(チフス菌)による全身感染症で、主に東・東南アジアやアフリカで流行している。適切な抗生物質治療を受けなければ、約3割が本疾病により命を落とすと言われている。しかし、ほとんどの抗生物質が効かない超多剤耐性のチフス菌が出現しており、世界的な拡散が懸念されている。これに対抗するために新規治療法の開発が求められ、それに向けたチフス菌の全身感染発症機構の解析が必要であるが、本菌の実験動物には感染できない高い宿主特異性が障害になっている。そこで本研究では、チフス菌に遺伝的に類似したSalmonella enterica serovar Paratyphi C(パラチフスC菌)をマウスに感染する代替マウス全身感染モデルを用いた腸チフス評価法を提案した。 まず、国際共同研究先である米国カリフォルニア大学デービス校にて、同一条件におけるチフス菌、パラチフスC菌、そしてマウスを自然宿主とするSalmonella enterica serovar Typhimurium(ネズミチフス菌)を腹腔内に接種したマウス感染実験において病原性を評価した。その結果、用いたパラチフスC菌2株のうち、1株はネズミチフス菌と同程度の致死性の強い病原性を示し、もう1株はチフス菌とネズミチフス菌の中間程度の持続した感染性を示した。またチフス菌とパラチフスC菌が共通に持つ病原因子の作用をこの代替マウス全身感染モデルで評価したところ、それらの顕著な感染性への関与が認められた。このことから、このパラチフスC菌を用いたマウス全身感染モデルを使うことで、腸チフスの発症機構の解明、新規ワクチン・創薬開発研究につながることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定より出発が2ヶ月ほど遅れたものの予6ヶ月半の間、国際共同研究機関(米国カリフォルニア大学デービス校)で計画していた研究を遂行することができた。研究内容においても、予定していたチフス菌のマウス感染実験結果との比較から、パラチフスC菌を用いたマウス全身感染モデルは、新規の腸チフス動物モデルとして有用であることが確認できた。さらに、チフス菌の保有する病原因子の全身感染における役割を、このin vivo感染モデルにより明らかにすることに成功した。以上のことから、現在までおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでチフス菌の病原性や病原因子の解析を中心に行なってきたが、今後は本研究で見出した新規腸チフス動物モデルを用いたワクチン開発・創薬開発への有用性を評価する。また、申請書に記載した病原因子に結合する受容体のノックアウトマウスを作製し、その相互作用がどのように病原性発揮機構へ関与しているのか評価する。得られた成果は、積極的に国際誌や学会で発信していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)