Research Project
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
本研究では、ヒトT細胞の交差反応性評価系ならびにヒトT細胞の抗原認識に関する構造解析により、1)機能的なヒトT細胞に備わったヒトT細胞の交差反応性特性、また、2)ヒトT細胞の交差反応性を形成するTCR-pHLA相互作用の構造的解明、3)TCRの交差反応性のデータと構造情報を融合させ、機械学習により、TCRの配列から抗原特異性を予測する新たなアルゴリズムの構築に発展させ、将来起こりうる変異もしくは新たな病原体に応答可能か否かを予測する新たなヒト免疫監視システムの構築する。
本研究では、ヒトT細胞の交差反応性評価系ならびにヒトT細胞の抗原認識に関する構造解析により、1)機能的なヒトT細胞に備わったヒトT細胞の交差反応性特性、また、2)ヒトT細胞の交差反応性を形成するTCR-pHLA相互作用の構造的解明、3) TCRの交差反応性のデータと構造情報を融合させ、機械学習により、TCRの配列から抗原特異性を予測する新たなアルゴリズムの構築に発展させ、将来起こりうる変異もしくは新たな病原体に応答可能か否かを予測する新たなヒト免疫監視システムの構築することを目的としている。今年度は、昨年度、基盤研究Bで明らかにした免疫原性が高い抗原で、且つ、複数のSARS-CoV-2変異株由来の変異を有している抗原ペプチドに特異的なT細胞受容体(TCR)に着目した。タンパク質レベルでの解析を行うため、カーディフ大学において、可溶型TCRを調製して、ペプチド/HLA複合体に対する結合能を調べた。その結果、野生型抗原について高い結合能を示したが、変異を含む抗原に対する結合能は顕著に低かった。さらにTCR-ペプチド/HLA複合体の結晶構造を得ることに成功し、共通していたTCRの可変領域がHLA上のペプチドとの結合に重要な役割を果たしていることが構造的な側面から明らかになった。さらにCombinatorial peptide libraryを用いたT細胞の交差反応性プロファイルについても解析を行い、それらの抗原特異的T細胞は、変異が生じた箇所のアミノ酸に対して認識能がもともと低いことが明らかになった。一方で、配列が保存されている抗原に特異的なT細胞については、ウイルスタンパク質由来の野生型のアミノ酸に高い認識能を示すことが明らかになった。以上より、SARS-CoV-2 spike変異のT細胞応答からの逃避機序について分子レベルで明らかにすることが出来た。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
免疫原性の高い抗原に着目し、複数のドナーで共通して認められるTCRを同定した。さらにそれらについてTCRを再構築した細胞ならびに可溶型TCRならびにペプチド/HLA複合体を調製し、TCRの抗原変異に対する交差反応性、TCR-ペプチド/HLA複合体の結晶構造解析、ならびにペプチドライブラリーを用いたT細胞の交差反応性プロファイルによって、T細胞の変異に対する分子認識機構を明らかすることが出来た。
変異性の高い抗原だけでなく、変異株間で配列が保存された抗原に対するT細胞応答にも着目し、In vitroにおけるヒトT細胞の抗原変異に対する交差反応性解析認識/ウイルス感染細胞に対する抗ウイルス活性評価を行う。T細胞の交差反応性の定量化ならびにTCR-pHLA複合体の構造に関する情報を人工知能に機械学習させ、TCRの一次配列からTCRの抗原特異性ならびに交差反応性を予測する新たなアルゴリズムの構築を行う。これにより、抗原変異に対する応答性や、今後新たに出現するかもしれない未知の病原体に応答する可能性のあるT細胞サブセットの予測を可能にする、新たなヒト免疫監視予測システムの構築を目指す。
All 2024 2023 Other
All Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 4 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)
Communications biology
Volume: 7 Issue: 1 Pages: 334-350
10.1038/s42003-024-06025-8
Cell reports
Volume: 43 Issue: 3 Pages: 113887-113902
10.1016/j.celrep.2024.113887
Cancers
Volume: 16 Issue: 1 Pages: 47-47
10.3390/cancers16010047
Microbiology Spectrum
Volume: 11 Issue: 4 Pages: 00660-23
10.1128/spectrum.00660-23
https://caids-kumamoto-u.wixsite.com/ueno-lab