Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
我々は、金ナノ構造/酸化チタン電極界面に波長1050nm付近の近赤外光を照射することにより、金ナノ構造に誘起される局在表面プラズモン共鳴に基づき光電流が観測されることを見出した。しかし、金ナノ構造が示す局在プラズモンがどのようなメカニズムによって金属ナノ構造/酸化チタン基板界面における電子移動を誘起するかについては明らかになっていない点が多く、電子移動ダイナミクスを追跡して、原理を解明する必要がある。そこで、本年度はフェムト秒レーザー励起の光電子顕微イメージングシステムを構築して、金ナノ構造に誘起されるプラズモンを高い空間分解能で観察することを試みた。パルス幅7fsのフェムト秒レーザービームを光電子顕微鏡に導入し、サンプルに集光照射した。サンプルには、金ナノブロック構造(100nm×200nm×40nm)を配列したニオブドープ(0.05wt%)の単結晶酸化チタン基板を使用した。金の仕事関数(4.8eV)よりエネルギーの大きい紫外光をサンプルに照射した場合、走査型電子顕微鏡で観察される金ナノブロック構造と同様の形状の光電子顕微鏡像が観測されたのに対して、波長800nmのフェムト秒レーザービーム(1.55eV)を照射した場合は、構造全体ではなく、構造のエッジ付近が明るい像が得られた。時間領域差分法により金ナノブロック構造の光電場強度分布をシミュレーションしてみたところ、光電場強度の高い構造のエッジにおいて光電子が多く放出されていることが明らかになった。つまり、プラズモン励起によって形成された強い近接場光が、多光子吸収を誘起し、光電場強度分布の高い位置で空間選択的に光電子を放出させ、光電場強度分布を可視化することが可能であることを明らかにした。なお、観測された光電子数は入射光レーザー光強度の3.8乗に比例しており、ほぼ4光子吸収過程を介して光電子顕微鏡像が得られており、金ナノブロック構造が高い光電場増強効果を示すことが明らかになった。
All 2011
All Presentation (2 results)