Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
本基盤研究(A)の初年度においては、既知タイプとは異なるG蛋白質群、すなわち、1)従来の刺激依存性GDP-GTP交換によるコンホメーション転換型とは異なるGTP結合待機型G蛋白質(申請者らが先に同定したArfファミリーに属するArl8、RasファミリーのDi-Rasなど)、2)低分子量Gドメインに加えて別の機能領域も有するユニークな構造のマルチ・ドメイン型G蛋白質(ArfファミリーのArl13b、RabファミリーのEFCAB4Bなど)について検討を加え、以下の知見を得た。1.線虫Arl8欠失変異体を用いた解析から、Arl8は、後期エンドソームに加えてファゴソームとリソソームの融合に必須の役割を果たすこと、さらにArl8b欠失マウスの解析から、Arl8bを欠くマウスは膵外分泌細胞の分泌小胞の局在が異常となる表現型を見出した。2.Di-Rasは、出生後の神経組織に特異的に発現するが、smg-GDSとヘテロ二量体を形成して細胞質画分にも存在することを見出した。また、GTP結合型において、Di-RasはRapのGEFとして先に同定されたEpac2aのRAドメインに結合し、細胞膜にEpac2aを局在化させることを見出した。3.N末端側のArfドメインに加えて、Coiled-coil及びPro-rich配列を有するユニークなG蛋白質Arl13bは、繊毛に限局して繊毛内物質輸送系に介在する。このArl13の繊毛局在性は、ゴルジ体でのN末端側パルミトイル化修飾とC末端側に存在するRVEP配列に依存した繊毛標的化によることを見出した。4.C末端側のRabドメインに加えて、EF-hand及びCoiled-coil配列を有するユニークなG蛋白質EFCAB4B(a型)は、細胞内Ca^<2+>上昇に応答して核近傍のリサインクリングエンドソームへ集積し、炎症性サイトカイン産生に関与することを見出した。
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Mol.Biol.Cell
Volume: 22 Pages: 2301-2308
J.Biol.Chem.
Volume: 286 Pages: 24364-24373
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~seiri