Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
一個所の粘膜関連リンパ組織(MALT)に抗原投与することで遠隔の粘膜面に抗原特異的免疫応答が誘導されることは現象論として知られているものの、その分子・細胞機構については不明であった。近年、パイエル板において誘導される抗原特異的免疫担当細胞の腸管粘膜指向性決定分子群が同定されたが、経鼻免疫および経眼免疫によって誘導される抗原特異的免疫担当細胞の膣粘膜組織指向性を決定する分子機構については未だ不明である。そこで、当研究室で同定しその組織形成分子・細胞機構を明らかにしてきた鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)と涙道関連リンパ組織(TALT)を介して、抗原の経鼻免疫および経眼免疫によって遠隔の膣粘膜において抗原特異的免疫応答が誘導される分子・細胞機構を明らかにすることを目的とし、膣粘膜感染防御に必須であるエフェクターメモリーCD4+ T/CD8+ T細胞および抗原特異的lgA+ B細胞の誘導組織から膣粘膜組織への移動および局在の制御機構について解析する。そしてそれらの知見を利用した性感染症に対する新世代粘膜ワクチンの開発への基盤研究遂行を目指す。経鼻・経眼免疫した抗原タンパク質や細菌・ウイルスのイメージング:経眼投与または経鼻投与されたウイルス(HSV-2)・細菌(C.trachomatis)がどの組織(鼻粘膜組織やリンパ組織など)に局在し、抗原提示細胞により捕捉・処理されているのか、マクロ蛍光イメージング法により詳細に解析する目的で研究を遂行している。まず我々は作成に成功したEGFP発現HSV-2株を用いて、経鼻投与されたウイルスが所属リンパ節ではなく鼻粘膜固有層にて抗原提示細胞に補足されることを免疫組織染色法および定量RT-PCR法により明らかにした。以降、基盤Sの採択に伴い、以降の研究成果については基盤Sに移行する。