悪性黒色腫におけるCD10発現の生物学的意義と新規治療法の開発
Project/Area Number |
23591623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Dermatology
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
師井 洋一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264022)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 悪性黒色腫 / CD10 / 予後因子 |
Research Abstract |
CD10は蛋白分解活性によって細胞外における様々な生理活性物質の活性を制御している。我々は悪性黒色腫患者においてCD10 を高発現する症例では予後が悪いことを報告した(J Am Acad Dermatol 65; 1152, 2011)。その生物学的メカニズムを検討する目的で,CD10陰性のヒト悪性黒色腫細胞株A375にCD10遺伝子およびそのベクターのみを導入したCD10-A375とmock-A375を作成し,CD10-A375がmock-A375に比較して,in vitroでの増殖能が高いこと,抗癌剤によるアポトーシス抵抗性が高いこと,in vivoで有意に腫瘍発育が早いことを観察した。今年度は以下のことを明らかにした。 ①CD10の酵素活性阻害薬phosphoramidonを腫瘍接種前に投与したところ,CD10-A375で阻害薬投与群のほうが 非投与群に比べ有意に腫瘍の増殖が遅延していた。一方,mock-A375においては阻害薬投与の有無で腫瘍増殖に差を認めなかった。②CD10-A375, mock-A375, 及びwild type A375の3種類の細胞の遺伝子発現をDNAマイクロアレイで比較した。CD10導入によって有意な発現変化を認めた遺伝子は多数あり,その中でも血管新生,細胞増殖,アポトーシス抵抗性を促進する遺伝子,細胞接着や遊走を抑制する遺伝子の発現の有意な上昇が認められた。③CD10-A375及びmock-A375の細胞移動能を評価したが,CD10-A375はmock-A375に比べて移動するスピードが遅かった。細胞増殖能の影響を除くためにマイトマイシンCを加えても,結果は同様であった。 in vivoの動物実験でより正確な解析を行うために,マウス悪性黒色腫細胞株のB16F10にマウスCD10遺伝子の導入を試みているが,現在まで成功には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD10を安定導入した悪性黒色腫株を作成,維持できており,以降の実験を滞りなく進行できている。当初の想定通り,CD10導入によりおおむね腫瘍の悪性度が増強されることが,臨床結果だけではなく,in vivo,in vitroの実験でも明らかとなっており,現在はその生物学的メカニズムを検討する段階にきている。しかし,細胞浸潤能においては相反する結果を得ている事から,更に詳細に検討する必要があると考えている。その点でも,DNAマイクロアレイによる解析で,CD10導入による遺伝子発現変化の動向が明らかとなったので,その結果をもとにある程度標的を絞った解析,以降の実験が可能となってきた。CD10の阻害に関しても,市販の特異的酵素活性阻害剤phosphoramidonもしくはthiorphanが使用可能である事が判明し,今後の実験にきわめて有用である。上記の成果から,おおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroにおいては,CD10特異的酵素阻害剤の効果を増殖能,アポトーシス抵抗性,細胞移動能について,CD10-A375,mock-A375で比較検討する。可能であれば,もう一つのCD10特異的酵素阻害剤であるthiorphanも用いて,実験結果をより確かなものにする。また,これら特異的酵素阻害剤が確実に作用しているかどうかの作用確認実験を施行する必要がある。 in vivoの増殖実験において,CD10特異的酵素阻害剤の有無による違いを更に詳細に検討する。DNAマイクロアレイによる解析で明らかになった発現が変動した遺伝子のうちのいくつかのものに注目し,RT-PCR,免疫染色などで発現の確認実験を行う(CTLA-4, IL-1α, NCAM-1, caveolinなど)。またCD10を高発現している細胞株をヌードマウスに摂種して特異的酵素阻害剤の効果を検討し,さらに,特異的酵素阻害剤を治療スケジュールで投与してその効果を検討する。 可能であれば、in vivo実験でより正確な解析を行うため、また今後の実験の展開のために,マウス悪性黒色腫細胞株へのマウスCD10遺伝子の導入をさらに試みたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的に今までの実験を繰り返して,その再現性を確認する。ヒト細胞株のin vivoでの実験を行うため,免疫不全マウスであるヌードマウスを使用するため,その購入,維持に資金が必要となる。特に特異的酵素阻害剤による治療実験は,是非実施したいと考えている。その他,基本的に機器はそろっており,単価少額の消耗品での支出となる予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Expression of CD10 predicts tumor progression and unfavorable prognosis in malignant melanoma.2011
Author(s)
Oba J, Nakahara T, Hayashida S, Kido M, Xie L, Takahara M, Uchi H, Miyazaki S, Abe T, Hagihara A, Moroi Y, Furue M.
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Journal Title
J Am Acad Dermatol.
Volume: 65
Pages: 1152-1160
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Peer Reviewed
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