レトロウイルス感染症に随伴して新たに発見された心筋異常の正体
Project/Area Number |
23658249
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Applied veterinary science
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 謙爾 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (80214162)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2013
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2013: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | トリ白血病ウイルス / レトロウイルス / 心筋症 / 心筋炎 / 肥大心筋細胞 / グリオーマ / 異型心筋線維 / 基質封入体 / 肥大心筋線維 / トリのグリオーマ |
Research Abstract |
トリのグリオーマ誘発ウイルス (FGV) はトリ白血病ウイルスA亜群 (ALV-A) に属し,鶏の脳に神経膠腫や非化膿性脳炎を誘発する。研究代表者はこれら罹患鶏に心筋異常を示す例を複数見出した。ヒトの特発性心筋症の発生にはヒトレトロウイルス感染症の関与が推察されているが,その詳細は明らかにされていない。本課題の目的は FGV 感染と心筋異常との因果関係を解析しレトロウイルスがもつ心筋細胞に対する病原性を検証することである。得られた成績は以下の通りである。1.野外例18羽中10羽の脳にトリの神経膠腫が認められ,18羽全ての心臓にALVにより形成される筋形質内基質封入体と非化膿性心筋炎が認められた。また,18羽中7羽 (39%) の心臓には巨大な異型核を持つ肥大心筋細胞が限局性または多病巣性に認められた。2.これら野外例の心筋病変から ALV 抗原が検出され,最も重度の心筋病変を示した鶏の脳からFGV変異株Km_5892が分離された。3.Km_5892株はFGV特異配列を持ち,envSUはFGVのそれと比較して82%の相同性を示す一方,polは内在性レトロウイルスev-1と高い相同性(97%)を示したことから,Km_5892はev-1とFGVに由来する組換えウイルスであると推察された。4.鶏の心筋炎はトリレオウイルスでも引き起こされる。そこで,PCRにより野外例4羽から本ウイルスの特異配列の検出を試みたが,いずれも陰性であった。5.分離した2株のALVを用いて感染実験を行った結果,両者とも高率(83%以上)に非化膿性心筋炎を誘発し,さらに頻度(14~15%)は低いものの肥大心筋細胞や異型心筋の塊状増殖をも誘発することがわかった。以上の成績から,ALV は心筋炎のほか心筋細胞の形態異常をも誘発することが実験的に明らかになった。
|
Report
(3 results)
Research Products
(5 results)