日本中世の戦争をめぐる実態と心性の総合的研究―「大乱」をめぐって―
Project/Area Number |
23720328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下村 周太郎 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (40581822)
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2012: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 日本中世 / 戦争 / 大乱 / 心性 |
Research Abstract |
日本中世史研究においては、あらゆるレベルの軍事衝突を一律に近代的概念である「戦争」で捉えた結果、中世社会の現実や中世人の心性を見落としてしまいかねない現状にある。本研究では、中世史料にしばしば見出される「大乱」という言葉に注目し収集・分析することで、実態論的視角だけでなく心性史的視角からも中世の「戦争」について考究し、以下の結果を得た。 1、中世には戦乱や政争が断続的に惹起したが、全てが「大乱」と表現されたわけではない。中世前期において「天下大乱」と表現されたのが、治承~文治の乱、承久の乱、元弘・建武の乱の3つの戦乱である。これ以前平安期にも「大乱」の所見はあるが、個別的・局地的な事件を当時一回的に誇張表現しただけである。一方、治承~文治の乱以降の「天下大乱」は大規模な戦乱を後々まで繰り返し想起・提起するものであり、そこから中世人の時代観・歴史意識や世界観・空間認識を検討する余地が生じる。治承~文治の乱は「大乱」の用法を変転させたという点で、中世人の言説体系に大きな影響を与えた出来事であった。 2、「天下大乱」と表現された3つの戦乱は、笠松宏至氏の言う"政権交替史"の重大契機と軌を一にしており、戦争をめぐる心性の問題は政治史や国家史・社会史の問題へと繋がっていく。また、蒙古襲来が「大乱」とは呼ばれないことなどから、「大乱」に関わる「天下」とは「日本」であり、ここからは内乱と外寇を区分する中世的ネーションを想定することも可能である。「天下大乱」とは、中世「日本」という空間における時間を分節する一大画期であった。 3、中世後期・近世への展望として、鎌倉期においては「天下」の大乱であったものが、戦国期には地域(荘・国)の大乱へと用法が変化し、その画期として関東における上杉禅秀の乱や応仁・文明の乱が措定される。中世後期以降、列島社会に地域意識が顕在化することが示唆されるのである。
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Report
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Research Products
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