Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
これまでに、わが国および海外においても小児患者の母親に対する行動科学的アプローチの有効性に関する研究は皆無に等しい。小児歯科患者の母親に対して行動科学的アプローチを応用した歯科保健指導を行い、それによって母親の歯科保健行動が変容すれば、小児う蝕の予防につながる可能性があり、さらに、それが歯科臨床および地域歯科保健活動に広く普及すれば、我が国のさらなる小児う蝕の減少につながると考えられる。そのためには短時間で実践可能なパッケージ化された歯科保健指導方法を開発し、その有効性を検証する必要があると考えられる。そこで、本研究では、行動科学的介入を応用した歯科保健指導が小児患者の母親の歯科保健行動を変容させるかどうかについて明らかにすることを目的としてランダム化比較試験を実施した。研究方法については、う蝕と診断された3歳児の母親を対象として、ランダム化比較試験にて介入研究を実施した。通常の口腔清掃指導に加えてStanford大学で開発されたSix-Step-Methodを実施した群を介入群、通常の口腔清掃指導のみを実施した群を対照群として2週間にわたって介入を実施した。Six-Step-Methodは、健康行動科学理論の一つである自己効力理論に基づいて、歯科診療の現場向けに開発したカウンセリング方法であり、歯科医師により10分間実施された。介入終了から3ヶ月後の歯科保健行動の変化を主要な評価項目とした。研究の進捗状況については、現在、介入期間が終了し、データ入力・データクリーニングを開始したところである。今後、データ解析、学会発表および論文化を行う予定である。