Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
放射線治療後に腫瘍内、所属リンパ節に誘導され癌特異的キラーT細胞(癌特異的CTL)を体外へ取り出し、それを癌の治療に利用するという治療法の有効性を担癌マウスを用いて調べている。EG7(OVA遺伝子導入EL4、lymphoma)をC57BL/6マウスの右脚部に皮内移植(2×10^6/匹)する担癌マウスを実験に用いた。腫瘍サイズが約1cmになったところで腫瘍に向はて3Gy(腫瘍増殖抑制が可能な線量)のX線照射を行った。照射から5~7日目に所属リンパ節内・腫瘍内のCD8陽性細胞に対する癌特異的CTLの割合をフローサイトメトリーにて測定したところ、未照射ではそれぞれ0.4%、5.7%だったところ1.7%、10.5%と上昇していた。癌待異的CTLが増加していた所属リンパ節細胞を体外に取り出し、それをIL-2、IL-12、EG7(マイトマイシンC処理により不活化)存在下で培養したところ、全リンパ球に対する癌特異的CTLが割合が最初は0.6%であるのに対し、培養10日目では20.6%にもなった。全細胞数も培養前に比べて約5倍に増加した。増加した全リンパ球を別の担癌マウスに癌特異的CTLが1×10^7/匹になるように投与したところ5匹中4匹が完治した。また、リンパ節細胞を抗CD3抗体によって癌抗原非特異的に増殖・活性化させたリンパ球の投与を対照としたところ、腫瘍増殖抑制がほとんど見られなかった。この結果は担癌患者へ放射線照射後に生検した、あるい外科的に摘出した腫瘍組織や所属リンパ節から癌特異的CTLを分取し、体外で培養・増殖させそれらを担癌患者に戻すことで遠隔微小転移消失、あるいは原発巣の再発防止といった治療のモデルとなる可能性がある。
All 2011
All Presentation (3 results)