鼻性NK/T細胞リンパ腫におけるケモカインおよびケモカインレセプターの解析
Project/Area Number |
23791869
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Otorhinolaryngology
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
長門 利純 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80431419)
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2011: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / NK/T細胞 / ケモカイン / EBウイルス |
Research Abstract |
鼻性NK/T細胞リンパ腫の病態解明、新たな診断および治療開発のために、各種ケモカインとその受容体の発現および機能について、腫瘍細胞株および臨床検体を用いて検討した。 鼻性NK/T細胞リンパ腫におけるケモカイン発現を網羅的に調べるために、本リンパ腫細胞株の培養上清を用いてケモカインアレイを施行した。鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株として、EBV陽性かつウイルス蛋白であるLMP-1陽性であるSNK6、SNT8、SNK1を用いた。対照として鼻性NK/T細胞リンパ腫以外のNK細胞株であり、EBV陰性であるKHYG1を用いた。その結果、鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株においてKHYG1より有意に発現が上昇しているケモカインとしてTARC、MDC、IL-8、MCP-1が同定された。TARCは3種類の鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株すべてでKHYG1と比較して発現上昇を認めた。MDCはSNK6とSNK1で、IL-8はSNT8とSNK1で、MCP-1はSNT8で発現上昇を認めた。これらのケモカイン産生はELISAによって確かめられ、鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株ではケモカインアレイの結果に一致して、TARCは3つの細胞株すべてにおいて、MDCはSNK6とSNK1で、IL-8はSNT8とSNK1で、MCP-1はSNT8でそれぞれ十分量の産生を認め、時間の経過と共にその産生量は増加した。その他のNK細胞株やNK細胞様T細胞株、T細胞株では、4種類のケモカインはほとんど産生を認めなかった。 TARCとMDCの受容体であるCCR4、IL-8の受容体であるCXCR1とCXCR2、MCP-1の受容体であるCCR2の鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株における発現を調べるために、フローサイトメトリーを施行した。CCR4は3つの鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株すべてで発現を認めたが、CXCR1、CXCR2、CCR2は発現を認めなかった。 患者血清中のケモカインの発現をELISAにて検討した。当科にて鼻性NK/T細胞リンパ腫と診断された14名の治療前血清を用い、比較対照として10名の健常人血清を用いた。その結果、患者血清において健常人血清と比較しTARC、MDC、IL-8、MCP-1の有意な発現上昇を認めた。 クモカインアレイとELISA結果より、鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株では、TARC、MDC、IL-8、MCP-1が他のNK細胞株、NK細胞様T細胞株、T細胞株と比較して特異的に発現していることが示された。また、今回使用した細胞株で4種類のケモカインを産生している細胞株はEBV陽性LMP-1陽性細胞株であった。TARCとMDCはEBウイルス感染B細胞でLMP-1によって発現が誘導されるとの報告がある。IL-8は上咽頭癌でLMP-1によって発現が誘導され、血管新生に関与するとの報告がある。また、MCP-1も上皮細胞株でLMP-1によって発現が誘導されるとの報告がある。以上より、鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株における4種類のケモカイン産生にもEBウイルス感染が関連している可能性が考えられた。鼻性NK/T細胞リンパ腫患者血清おいて、健常人血清と比較し、TARC、MDC、IL-8、MCP-1の有意な発現上昇を認め、患者検体においても4種類のケモカインの存在が確認された。また、鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株において、TARCとMDCの受容体であるCCR4の発現も認められたことから、TARCとMDCに関しては今後オートクラインによる遊走能や浸潤能亢進などについて検討する必要があると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)