Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、口腔内粘膜への種々の「味覚刺激」が、繰り返し行わせる随意嚥下および反射性嚥下に及ぼす影響を調べることを目的とする。対象は、健常若年者である。舌前方部への味覚刺激には比較的の高濃度の5基本味溶夜を用いた。刺激方法は細いシリコンチューブを口腔内へ挿入し、注入にはシリンジポンプを用いた(0.2ml/min)。嚥下の評価には、嚥下間隔時間を用いた。結果、いずれの味も、刺激時には繰り返しの随意嚥下の嚥下間隔時間は短縮し、促通効果を認めた。VASにて味刺激に対する快・不快の評価を行ったところ、嚥下の促通効果との関連性は無かったため、味質の違いに依らず、どの味刺激においても嚥下の促通効果があることが明らかとなった。わずかではあるが、咽頭喉頭内へ到達した注入溶液の効果を避けるため、咽頭喉頭内の局所麻酔を施行し、同様の実験を行ったところ、結果は同じくなった。このことより、本実験で得られた味覚刺激の効果は、咽頭喉頭内の感覚受容器の刺激とは関係せず、舌の味覚受容器の興奮に起因することが示唆された。繰り返しの随意嚥下の嚥下間隔時間には個人差が認められた。この個人差と味刺激による随意嚥下の促通効果は、正の相関関係にあり、嚥下間隔時間の長いヒトほど、随意嚥下の促通効果が高いことが明らかとなった。この嚥下の個人差が、嚥下機構のどこに起因するのか明らかにするため、反射性嚥下おける効果を調べることを、次段階の実験の目的にしている。
All 2011
All Presentation (2 results)