Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
本研究は発達期に形成されつつあるシナプス(nascentsynapse)に特徴的なスパインの形態およびシナプス構成分子の分子局在について明らかにすることを目的としている。記憶・学習、行動、認識などの高次脳機能は、シナプスを介して神経細胞どうしが神経回路を形成し、情報をやりとりすることで担われていることから、本研究を通じてシナプス形成過程の詳細な解析を行うことで、上記のような多彩な脳機能の分子基盤を明らかにしたい。とくにシナプスは膨大な数の分子が集積する微細な形態であることから、その分子局在を明らかにすることは既存の手法では困難である。このため平成23年度は、このような目的のために近年開発されたArray Tomography法の確立を目指して研究を推進した。Array Tomography法は(1)蛍光標識された脳組織の電子顕微鏡用樹脂に包埋、(2)ウルトラミクロトームを用いた超薄連続切片化、(3)光学顕微鏡での画像取得、(4)得られた画像の三次元構築、の4ステップから成る。当初の目標どおり、本年度中にこれらのステップの全てを達成することができた。したがって次年度はin vivoイメージングとの組み合わせを試み、発達期におけるシナプスの特徴抽出を目指す。ただしArray Tomographyの各ステップのうち、特に(3)については広範囲に亘る画像取得には至らず、比較的狭い範囲での画像取得にとどまっている。そこで今後、広範囲に亘る画像取得方法の開発・改良の必要がある。また(2)についても回収可能な切片数の向上を目指し、より広範囲に亘る神経組織の三次元再構築を目指す。