Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
DNA損傷チェックポイントは、DNA損傷に応答して細胞周期を停止するメカニズムで、ゲノムの安定性に重要な役割を果たしています。先行研究において筆者はショウジョウバエを用いた網羅的RNAiスクリーニングを行い、muUs312遺伝子を新規チェックポイント因子として同定しました。MUS312タンパクはヌクレアーゼ複合体のサブユニットであり、DNA修復や減数分裂時の相同組換に関与することが知られていましたが、そのようなDNA修復因子が細胞周期をも制御するといのは予想外の発見であり、そのメカニズムの推測は困難でした。当研究では、分子遺伝学的手法によって、mus312遺伝子がチェックポイントを制御する作用機序を明らかにすることを目的とします。2011年度は以下の実験を行いました。(1)MUS312タンパクのどの領域が機能に重要かを調べるため、部分欠損変異系列を作成し、トランスジーンとしてハエゲノムに導入しました。変異遺伝子にはGFPを融合し、細胞内局在の可視化及びタグ抗体を用いた生化学実験を可能にしました。それぞれの欠損変異トランスジーンをmus312変異体に組み込み、個々の部分欠損タンパクがmus312変異体の表現型をレスキューするか検討しました。(2)チェックポイント・シグナル経路の活性化をモニターするレポーターとして、RFP-TOPBP1、RFP-ATRIP、RFP-RPA70、ヒトCHK1を発現するトランスジェニック系統を作成しました。